第1話
思った以上に私の中では、前世と同じように監禁されたくない想いが残っている。
このままいくと、危ういこと。
どうにか言いくるめようと、私考えあぐねていた。
「傷つくなあ、本当に。それでも僕は、ルアンを手放すつもりはないよ」
「どうしてですか? 私以外にも他に従順な姫君ならば、いっぱいいらっしゃるでしょう?」
「そんなの、一緒にいても面白くなんてないよ。ルアンのように、調教しがいのある子じゃないと」
「調教って……、レイカルド様は、穢れ払いの儀式を何だと思っているのですか? 穢れを払うための大切なことなのでしょう?」
「そりゃあ、そうだけど」
「ならばもっとよく熟慮して、自分の相手を選んでください」
真剣みが足りないレイカルド様に、私は憤慨しながら、ふと彼の騎士であるハレットの苦労を感じていた。
「何を言っているから、ルアンは。僕はしっかりと選んだつもりだよ?」
「そんなこと」
「あるって。ルアンの光の鼓動は、かなりのものだから」
「それは、きっと、私が処女だからなのでは?」
「一理あるけどね。ルアンの気丈な緋色の瞳のように、内なる光の鼓動、それが鮮烈なのは確かだけど?」
レイカルド様はそう言い、私のこけた白い頬を指先で擽るように優しく撫でる。
「そんなことないですってっ」
そうされると、ぞくぞくと背筋から感じる。
何ともいえない感触に、思わず私は声を荒げ、身じろいだ。
寝台の上で、その力強い腕に拘束されてるのに、思った以上に嫌悪感がわかない。
そんな自分に対して、私は内心動揺を隠し切れずにもいた。
「それは絶対にあるって。それに僕は嘘をつかないって、何度も言っているだろう? だからね、ルアンがいいよ」
「で、でも」
「でもじゃない。僕が女に興味を持つなんて、本当に滅多にないことだからね。内にある邪神の欠片をよりよく抑制するためにも、それを利用させて貰うよ」
「は? 興味がないって。な、何を言っているのですか……?」
レイカルド様の言葉に目を瞬かせた私は、もっと反論しようとした。
だが、レイカルド様が真剣で意味深長な表情を浮かべていることに気づく。
思わず言葉がつまってしまい、私は次の言葉が出てこない。
「……それは本当のことだよ。だって面倒だから」
「面倒って」
「そうだろう? 僕に媚を売るわりには、気位があって計算高い。本当に何を考えているか、よくわからないからねえ、王宮の貴族どもは」
「レイカルド様……」
「確かに、ルアン自身も矜持は高そうだけどね。はっきりとした裏表なさそうな気性、僕は好きだよ?」
「何言っているのですかっ」
「本当のことだって、この僕に媚を売ることもないしね」
うんうんと、頷きながらレイカルド様はそう言った。
「私自身、そうゆうのはよくわからないのです」
「確かに、そうみたいだけど」
「私は、母さん、大切な母様や自分の祖国が無事であれば、私自身どうなっても構わないというだけで」
少し困惑した顔を浮かべながらそう言い、私は俯いた。
「そうゆうルアンの健気なところって、僕は好きだなあ」
「え?」
レイカルド様の優しく甘い声音に、私は思わず驚愕する。
「確かに、最初も僕を助けようとも考えてくれたし、ルアンって優しいよね」
「優しくないですよ、人助けって当たり前のことですって」
「確かにそうだけど」
「その恩で離宮から拾いあげてくれたのであれば、それはいいですよ? 私は大丈夫ですから」
「それは違うよ」
「いいえ、ありますでしょう?」
「だから、違うって」
「レイカルド様、力のない私よりも、あとあとのこと考えて、ちゃんとした高位の姫君を探したほうがよろしいのでは?」
私は、言い募って顔を上げ、レイカルド様の色違いの双眸を覗きこんだ。
思った以上に私の中では、前世と同じように監禁されたくない想いが残っている。
このままいくと、危ういこと。
どうにか言いくるめようと、私考えあぐねていた。
「傷つくなあ、本当に。それでも僕は、ルアンを手放すつもりはないよ」
「どうしてですか? 私以外にも他に従順な姫君ならば、いっぱいいらっしゃるでしょう?」
「そんなの、一緒にいても面白くなんてないよ。ルアンのように、調教しがいのある子じゃないと」
「調教って……、レイカルド様は、穢れ払いの儀式を何だと思っているのですか? 穢れを払うための大切なことなのでしょう?」
「そりゃあ、そうだけど」
「ならばもっとよく熟慮して、自分の相手を選んでください」
真剣みが足りないレイカルド様に、私は憤慨しながら、ふと彼の騎士であるハレットの苦労を感じていた。
「何を言っているから、ルアンは。僕はしっかりと選んだつもりだよ?」
「そんなこと」
「あるって。ルアンの光の鼓動は、かなりのものだから」
「それは、きっと、私が処女だからなのでは?」
「一理あるけどね。ルアンの気丈な緋色の瞳のように、内なる光の鼓動、それが鮮烈なのは確かだけど?」
レイカルド様はそう言い、私のこけた白い頬を指先で擽るように優しく撫でる。
「そんなことないですってっ」
そうされると、ぞくぞくと背筋から感じる。
何ともいえない感触に、思わず私は声を荒げ、身じろいだ。
寝台の上で、その力強い腕に拘束されてるのに、思った以上に嫌悪感がわかない。
そんな自分に対して、私は内心動揺を隠し切れずにもいた。
「それは絶対にあるって。それに僕は嘘をつかないって、何度も言っているだろう? だからね、ルアンがいいよ」
「で、でも」
「でもじゃない。僕が女に興味を持つなんて、本当に滅多にないことだからね。内にある邪神の欠片をよりよく抑制するためにも、それを利用させて貰うよ」
「は? 興味がないって。な、何を言っているのですか……?」
レイカルド様の言葉に目を瞬かせた私は、もっと反論しようとした。
だが、レイカルド様が真剣で意味深長な表情を浮かべていることに気づく。
思わず言葉がつまってしまい、私は次の言葉が出てこない。
「……それは本当のことだよ。だって面倒だから」
「面倒って」
「そうだろう? 僕に媚を売るわりには、気位があって計算高い。本当に何を考えているか、よくわからないからねえ、王宮の貴族どもは」
「レイカルド様……」
「確かに、ルアン自身も矜持は高そうだけどね。はっきりとした裏表なさそうな気性、僕は好きだよ?」
「何言っているのですかっ」
「本当のことだって、この僕に媚を売ることもないしね」
うんうんと、頷きながらレイカルド様はそう言った。
「私自身、そうゆうのはよくわからないのです」
「確かに、そうみたいだけど」
「私は、母さん、大切な母様や自分の祖国が無事であれば、私自身どうなっても構わないというだけで」
少し困惑した顔を浮かべながらそう言い、私は俯いた。
「そうゆうルアンの健気なところって、僕は好きだなあ」
「え?」
レイカルド様の優しく甘い声音に、私は思わず驚愕する。
「確かに、最初も僕を助けようとも考えてくれたし、ルアンって優しいよね」
「優しくないですよ、人助けって当たり前のことですって」
「確かにそうだけど」
「その恩で離宮から拾いあげてくれたのであれば、それはいいですよ? 私は大丈夫ですから」
「それは違うよ」
「いいえ、ありますでしょう?」
「だから、違うって」
「レイカルド様、力のない私よりも、あとあとのこと考えて、ちゃんとした高位の姫君を探したほうがよろしいのでは?」
私は、言い募って顔を上げ、レイカルド様の色違いの双眸を覗きこんだ。


