溺愛する身代わり姫を帝国王子は、逃さない。

 第3話




 威風堂々としているレイカルド様に怯むことなく、気丈な瞳で、私は猛烈に訴える。

 私としては、二人にこれ以上関わりたくないと思っていた。

「……へえ、これはこれで、何だか面白いよねえ。この僕に媚もせず、こう怯えないっていうのは」

 だが、レイカルド様はそう言うと、くつくつと面白げに嗤う。

 レイカルド様は、自分の長い指先を伸ばし、私の顎をしゃくりあげた。

「触らないで!」

 私は、すぐさま首を横に振って、強引にそれを解く。

 レイカルド様は、喚く私に気にすることなく胡坐を解くと腰を起こして、両膝を立てると、伸ばした両手でこけた両頬を挟んできた。

「……いいねえ。燃えるような緋色の瞳、魅力的かも」

「え?」

「幼げだけど、この僕に怯むことなく、とても気丈で、案外好みかもね」

「は?」

 面白げに嗤うレイカルド様の言葉に、私怪訝そうに顔を歪めている。

「それに、あんなおぞましい発作を起こした僕に脅えることなく、助けようとしたその度胸、気に入った」

「何を言っているのですか? 人助けというのは、至極当たり前のことでしょう? 違いますか?」

 レイカルド様は、極上の美貌といい、他を圧することが多々ある。

 それでもすぐ間近に顔を覗きこまれてもどうも訳がわからないので、私は怯むことがなくすぐさま反論し、そのまま眉根をきつく寄せてしまう。

「確かに、それはそうだけどね」

「そうでしょう?」

「それでも、怖くなかったのかい?」

「こ怖かったけど、逃げようにも無理だったから」

「確かにね」

「それに、あのまま放っておけるわけないから、それならば最善を尽くすもの、そうでしょう?」

 困惑を隠しきれない私だがそう言うと、レイカルド様の色違いの流雅な瞳に訴える。

「そうかもね。それでも本当に、はっきりしていて、いいねえ」

 ふっと鼻先で笑ったと思うと、レイカルド様は私の小さな唇を自分の唇へ強引に重ねあわせてきた。