その声を聞いて、教室の扉を開き、前へと足を進めた。
うぅ、みんなからの視線を感じる…。こんなに見られる機会はなかったから心臓ばっくばくだよ…。
そんな感じで、平静を装い、なんとか教壇にたどりつく。
「はじめまして。終夜璃瑠です。転校してきたばかりでなんにもわかってないんだけど…皆さんと仲良くなれたらなって思ってます。よろしくお願いします!」
…挨拶って、こんな感じでいいのかな?こういうのは久しぶりにやったからこれでいいのかわからない…。うーん、困った困った。
―――それにしても、けっこういろんなタイプの子がいるなぁ。馴染めるか不安。
「終夜に質問がある人はいるか?いるなら手をあげろ」
ひぇ、これで終夜さんは女ですかー?とか聞かれたらどうしよう…。いや待って、別に隠す必要はない…?いやお母さんが怖いから一応ばれないようにしておこう。うん。それに私の魔法は完璧だ。この世界で魔法を使える人はいない。宇宙から旅をし続けたベテランの旅人しかこの世界は来れないようになっている。戦争とかもあったし、ウイルスもよく蔓延しているここは危険だからね。だから、私が言わなければ魔法を使ってると考える人はいないはず…。
よし、不安がるな自分。大丈夫、大丈夫…。
内心でめちゃめちゃ動揺しているけれど、それを表には出さない。私の表情筋はあまり仕事をしないのだ。私は結構わかりやすく表情に出してる気がするんだけど。他の人から見ればあんまり表情に出てないらしい。はぁ、感情豊かだと思うんだけどな…。
『はいはいはい!!』
…ん?手あげてる子多いな…。そんなに気になる?というか化粧濃いめの子が多いな…。ファンデーション塗りすぎてべったべたの子も結構いるし…。適量が大事なのに。
「璃瑠って彼女とかいますか?」
おう、もう下の名前呼び?いや、私はあんま気にしないタイプだけど…。ちょっと驚いちゃった。自分の思考がよくわかんないな。私もすぐ下の名前で呼んだりするのに。
…おっと、質問に答えなきゃ。
「いないよー。というか彼女作ろうとか考えたことないし」
おばあちゃんだからね、私。年齢差ありすぎて困る。今までに何度も告白されたことはあるけど…。千里眼で心を覗いたら、なにも理解していない幼女と付き合いたいようだった。下衆な奴らだよ、まったく。
「喧嘩とか強い?どこかに所属してたりとかする?」
喧嘩…。まぁ、戦いみたいなものだよね、ここでは。そういう意味で考えると強いのかな?ここの人たちとは体のつくりが違うし、魔法も使える…。それにフォノーヴァでは最強とか言われてたっけ。
「…多分強いと思う。どこにも所属してないよ」
そういうと、なんだかぞわっとした。どこからだろうと探ってみると、夜と――夜と離れた席の子からだと気づく。へぇ、夜もこのクラスなんだ…。
…あ、そうじゃん。遼花の総長なんだからSクラスか。ちょっと考えればわかるようなことだったね。でも、もうひとりの子はなんでだろう?赤い髪だから…赤髪くんでいいか。喧嘩が好きで、私とやってみたい――とか?後で聞いてみてもいいかな。
「あの…声には比較的感情が乗ってるのに、表情に出てないのは…?」
「俺が知りたい!!!誰か教えてくれ!!」
声はエクスクラメーションマークがついてて明るいのに、表情はまったく笑ってないの!!もうどうしたらいい!?表情筋を鍛えてもなんにも変わらないし!
「もういないな。じゃあ、終夜。お前の席はあそこだ」
そういって田中先生は夜の隣―――一番窓際で、最も後ろの席を指でさした。
確かにそこの席は空いている。窓際で、一番後ろなのは嬉しい。けど―――夜の隣なのはいやだなぁ!?しかも多分、夜の周りに座ってる子たちも遼花だし!ばらばらな席にしていろんな人に迷惑かけるより、一か所にまとまってたほうが迷惑をかけるかもしれない範囲は限られるから、そっちのほうがいいもんね!?
でもさぁ!その子たちに囲まれると絡まれたときに逃げ道がないんだよ!!それに夜からさっき変な気配がして怖かったし!やだよー!!!
まぁ、こんな風に色々と考えたところで、私の席だと指定されたところが変わることなんてないから諦める。おばあちゃんが子供みたいに駄々をこねるなんてことはしない。はぁ…。
仕方なくすたこらさっさと席に行って座る。それを田中先生が見届けたところでホームルームが終了した。
すると周りの席の子から話しかけられた。
「璃瑠ちゃん、よろしくね!僕は如月翡翠だよー!仲良くしよっ!」
翡翠――クリーム色のふわふわとした髪に、緑色の澄んだ目をした少年が話しかけてくる。確かに目が翡翠みたいな色だね。随分と人懐っこそうな子だ。可愛いね!!ちょっとこの子気に入ったかも…。
…それにしても、私が女だとばれた?
「よろしく、翡翠!…ちゃんづけ?なんで?」
「んー?あぁ、気にしないで!僕はみんなにちゃん付けしてるんだー!…いやだったらやめるよ。ごめんね」
上目遣い…ずるい!はぁーー、この子ほんとに可愛い…可愛いしか出てこない。このままないないしちゃいたいなぁ。だめだってわかってはいるんだけどね。
「別に嫌じゃない。気にしないでいいよ」
ばれたわけじゃないと気づいて、ほっと胸を撫でおろす。すると他のやつらも話しかけてきた。
「はじめまして。僕は天木桃紀です。で、この二人は」
「俺は瀬尾雪悠!よろしくなー!!」
「…澤田奏汰…」
…奏汰は無口なタイプなのかな?三人の名前をメモしておく。がんばって覚えよう。
「俺のことは知ってるからいいだろ。…で、お前、俺らと戦ってみないか?」
そう言って、夜はニヤリと笑った。
うぅ、みんなからの視線を感じる…。こんなに見られる機会はなかったから心臓ばっくばくだよ…。
そんな感じで、平静を装い、なんとか教壇にたどりつく。
「はじめまして。終夜璃瑠です。転校してきたばかりでなんにもわかってないんだけど…皆さんと仲良くなれたらなって思ってます。よろしくお願いします!」
…挨拶って、こんな感じでいいのかな?こういうのは久しぶりにやったからこれでいいのかわからない…。うーん、困った困った。
―――それにしても、けっこういろんなタイプの子がいるなぁ。馴染めるか不安。
「終夜に質問がある人はいるか?いるなら手をあげろ」
ひぇ、これで終夜さんは女ですかー?とか聞かれたらどうしよう…。いや待って、別に隠す必要はない…?いやお母さんが怖いから一応ばれないようにしておこう。うん。それに私の魔法は完璧だ。この世界で魔法を使える人はいない。宇宙から旅をし続けたベテランの旅人しかこの世界は来れないようになっている。戦争とかもあったし、ウイルスもよく蔓延しているここは危険だからね。だから、私が言わなければ魔法を使ってると考える人はいないはず…。
よし、不安がるな自分。大丈夫、大丈夫…。
内心でめちゃめちゃ動揺しているけれど、それを表には出さない。私の表情筋はあまり仕事をしないのだ。私は結構わかりやすく表情に出してる気がするんだけど。他の人から見ればあんまり表情に出てないらしい。はぁ、感情豊かだと思うんだけどな…。
『はいはいはい!!』
…ん?手あげてる子多いな…。そんなに気になる?というか化粧濃いめの子が多いな…。ファンデーション塗りすぎてべったべたの子も結構いるし…。適量が大事なのに。
「璃瑠って彼女とかいますか?」
おう、もう下の名前呼び?いや、私はあんま気にしないタイプだけど…。ちょっと驚いちゃった。自分の思考がよくわかんないな。私もすぐ下の名前で呼んだりするのに。
…おっと、質問に答えなきゃ。
「いないよー。というか彼女作ろうとか考えたことないし」
おばあちゃんだからね、私。年齢差ありすぎて困る。今までに何度も告白されたことはあるけど…。千里眼で心を覗いたら、なにも理解していない幼女と付き合いたいようだった。下衆な奴らだよ、まったく。
「喧嘩とか強い?どこかに所属してたりとかする?」
喧嘩…。まぁ、戦いみたいなものだよね、ここでは。そういう意味で考えると強いのかな?ここの人たちとは体のつくりが違うし、魔法も使える…。それにフォノーヴァでは最強とか言われてたっけ。
「…多分強いと思う。どこにも所属してないよ」
そういうと、なんだかぞわっとした。どこからだろうと探ってみると、夜と――夜と離れた席の子からだと気づく。へぇ、夜もこのクラスなんだ…。
…あ、そうじゃん。遼花の総長なんだからSクラスか。ちょっと考えればわかるようなことだったね。でも、もうひとりの子はなんでだろう?赤い髪だから…赤髪くんでいいか。喧嘩が好きで、私とやってみたい――とか?後で聞いてみてもいいかな。
「あの…声には比較的感情が乗ってるのに、表情に出てないのは…?」
「俺が知りたい!!!誰か教えてくれ!!」
声はエクスクラメーションマークがついてて明るいのに、表情はまったく笑ってないの!!もうどうしたらいい!?表情筋を鍛えてもなんにも変わらないし!
「もういないな。じゃあ、終夜。お前の席はあそこだ」
そういって田中先生は夜の隣―――一番窓際で、最も後ろの席を指でさした。
確かにそこの席は空いている。窓際で、一番後ろなのは嬉しい。けど―――夜の隣なのはいやだなぁ!?しかも多分、夜の周りに座ってる子たちも遼花だし!ばらばらな席にしていろんな人に迷惑かけるより、一か所にまとまってたほうが迷惑をかけるかもしれない範囲は限られるから、そっちのほうがいいもんね!?
でもさぁ!その子たちに囲まれると絡まれたときに逃げ道がないんだよ!!それに夜からさっき変な気配がして怖かったし!やだよー!!!
まぁ、こんな風に色々と考えたところで、私の席だと指定されたところが変わることなんてないから諦める。おばあちゃんが子供みたいに駄々をこねるなんてことはしない。はぁ…。
仕方なくすたこらさっさと席に行って座る。それを田中先生が見届けたところでホームルームが終了した。
すると周りの席の子から話しかけられた。
「璃瑠ちゃん、よろしくね!僕は如月翡翠だよー!仲良くしよっ!」
翡翠――クリーム色のふわふわとした髪に、緑色の澄んだ目をした少年が話しかけてくる。確かに目が翡翠みたいな色だね。随分と人懐っこそうな子だ。可愛いね!!ちょっとこの子気に入ったかも…。
…それにしても、私が女だとばれた?
「よろしく、翡翠!…ちゃんづけ?なんで?」
「んー?あぁ、気にしないで!僕はみんなにちゃん付けしてるんだー!…いやだったらやめるよ。ごめんね」
上目遣い…ずるい!はぁーー、この子ほんとに可愛い…可愛いしか出てこない。このままないないしちゃいたいなぁ。だめだってわかってはいるんだけどね。
「別に嫌じゃない。気にしないでいいよ」
ばれたわけじゃないと気づいて、ほっと胸を撫でおろす。すると他のやつらも話しかけてきた。
「はじめまして。僕は天木桃紀です。で、この二人は」
「俺は瀬尾雪悠!よろしくなー!!」
「…澤田奏汰…」
…奏汰は無口なタイプなのかな?三人の名前をメモしておく。がんばって覚えよう。
「俺のことは知ってるからいいだろ。…で、お前、俺らと戦ってみないか?」
そう言って、夜はニヤリと笑った。
