先生と付き合い出して1週間が経った。
まだこの特別感に慣れなくて
毎日ドキドキして仕方ないんだよ。
放課後は、前みたいに図書室で勉強して、分からないところは教えて貰って、終わったらゲームしてたまにイチャイチャして。
もう好きすぎて死んじゃうよ。
月曜日 1限目
先生の授業が、朝から先生に会えることが嬉しくて早起きできた。
たまたまヒラと会って一緒に登校したら拗ねてたけど。
そんな所も可愛い!!
キヨ
「〜でここは〜作者の気持ちを考えて〜」
「作者の気持ちは作者しかわかんねぇだろ」
生徒
「先生がそんなこと言うな」
クラスの子達が先生の発言で笑った。
こうやって思ったこと口にして自然に笑わせる先生ってすごいなって思う。
あたしは一番前の席で、ノートを取りながら先生を見る。
かっこいいなぁ。
近すぎて声がダイレクトに耳に刺さる。
嬉しいけど耳が潰れそう。
なのにこの声が落ち着く。
やばいそろそろ寝そう
昨日めっちゃ寝たのに。
頬杖ついた瞬間意識がふっと落ちた。
夢の中でも先生が出てきて、手を繋いで…抱き締められて。
あぁほんと幸せすぎんだろ。
と思ったら教科書で頭を叩かれて目が覚めた。
葵
「痛っ」
一気に現実に引き戻されて、慌てて顔を上げる。
ちょうど他の皆はノートを書き込んでて、こっちには視界に入ってないぽい。
先生がわざわざしゃがんで話しかけてきた。
キヨ
「何寝てんの」
あ……怒ってる
んふふそんな顔もかっこいい…
葵
「ねてないもん」
キヨ
「ふーん俺の夢見てた?」
葵
「うん」
キヨ
「可愛いかよ」
先生の耳がどんどん赤くなってるのを見て、胸の高鳴りを抑えるのに必死だった。
キヨ
「も〜シャーペン持ちながら寝るなよ〜」
さっきとは違って皆に聞こえるくらい声でそう言った。
二人でコソコソ話してたらなんか疑われると思ったのかな?
先生がぐちゃぐちゃになったノートを消しゴムで消してくれる。
その時ふと手が当たった。
葵
「せ、先生?」
キヨ
「ばーか」
先生が微笑んだ。
その笑顔があたしだけに向いてるって考えただけで幸せな気持ちになる。
生徒
「絶対キヨちん坂木のこと特別扱いしてるだろ」
生徒
「あたしもされたーい!!」
きっしょ
こういう子たちは未だに全校生徒の中に紛れ込んでる。
どこで先生と歩いてても他の子がベタベタ先生に触るからほんとまじでムカつく
先生
「こんなやつにしねぇわ」
「さっきまでヨダレ垂らしながら寝てたのに」
葵
「いや垂らしてないし!!」
思わず立ち上がりそうになって、慌てて座り直した。
先生はそれを見て爆笑してるし。
最悪。
キヨ
「はいはいどうだかぁ」
先生は黒板に縁に腰かけて器用にチョークを指で回し出した。
キヨ
「寝てるやつは誰だろうが起こしてるだろいつも」
「お前らだりぃ」
生徒
「ナチは起こしてないけど?」
キヨ
「こいつは勝手に起きるだろ」
ナチ
「何?」
キヨ
「ほらな」
生徒
「いや絶対坂木のこと好きじゃん」
キヨ
「はいはいそう思うなら勝手にしろ」
「次行くけどもう書けたか?」
否定すればいいのに。
わざわざあたしのことを考えてくれた?
あたしが傷つくと思って?
好き。
あぁもう大好き。
キヨ
「あ、坂木お前後で職員室来いよ」
葵
「……っは?なんで?」
キヨ
「………………担任が呼んでた」
葵
「最悪なんだが」
いや絶対嘘じゃん。
今の間は何?
教室のあちこちから、くすっと笑いが漏れる。
生徒
「坂木また怒られんの?」
生徒B
「寝てた罰じゃね?」
葵
「……最悪」
先生はそのまま黒板に向かって問題の答えを書き始めた所でチャイムがなった。
キヨ
「はーい今日はここまで」
一斉に椅子が動く音。
ざわっと空気が緩む。
キヨ
「次、ここ小テスト出すからな。ちゃんと復習しとけよ」
生徒
「えー」
生徒
「今言うそれ?」
いつものやり取り。
なのに、今日はそれがやけに遠く感じる。
キヨ
「成績入るから頑張れよ〜」
生徒女
「あ、あのっ!清川先生っ」
何、先生になんの用なの?
この感じ告白じゃない?
ねぇ先生また告られるの?
先生かっこいいもんね……
モテるもんね…
いつか他の生徒に取られて……
先生
「っ……」
そんな眼差しで先生を見ていたら目が合った。
大丈夫だよみたいな顔で微笑まれたけど、そんなの目の前で見てたらどんどん苦しくなっていく。
先生
「何?どした?」
生徒女
「ちょっと時間ありますか?」
先生
「勉強の話?」
生徒女
「…そんなんじゃなくてっ」
じゃあ告白じゃねぇか
どう返答するの?
ねぇもう傷つきたくないよ?
いや見なきゃいい話だけどさ…
目が離せないんだよ。
先生
「あーうーんごめん今無理時間なくて」
そのまま言い去るように先生は教室を出ていった。
何故かさっきまで先生とはなしてたあ女の子に睨まれてしまった。
またお前かよみたいな顔。
いやあたしの話してねぇだろ!
なんでもあたしに繋げるのやめろよ!
この感じはいつになってもなくならないんだね。
はいはい卒業まで耐えるしかないか。
ナチ
「葵さんすっごい怖い顔してるよ」
葵
「うるさい」
ナチ
「あの子ね、結構地雷系だから早めに告白させて現実見させた方がいいよ」
葵
「情報屋か」
ナチ
「いや結構有名よ」
胸の奥がざわざわして、
呼吸が浅くなる。
ちゃんと断ってくれたのに。
他の女の子が先生を呼び止めるだけで気に食わない。
ナチ
「そろそろ行かないとじゃない?」
葵
「そうだね行ってくる」
ナチ
「楽しんでおいで」
葵
「楽しくないですー」
ナチとバイバイして、扉の前にいる女の子の目の前を通るとあからさまに不機嫌な目。
……ごめん、って気持ちと
ちょっとだけ、勝ったって気持ちが同時に湧く。
急いで職員室の前を通ろうとしたら誰かに後ろから引っ張られてどこかの部屋の中に吸い込まれてしまった。
葵
「……うわっ!!!」
叫ばせまいと口を手で塞がれ、バックハグされて少しパニックになる。
やばい学校で…こんなのあっていいわけ?
怖くて声が出せない…
やだっ先生助けてっ!!
先生
「葵」
耳元で聞きなれた低い声が聞こえた。
冷静に考えたら確かにこの匂いは先生で、思わず泣きそうになる。
葵
「あぁ良かった先生か……」
先生
「……ごめんやりすぎた?」
先生があたしから離れていく。
目を凝らして辺りを見渡すと、ここは使われていない国語科準備室だった。
少し埃っぽい
先生
「早く2人になりたくて…」
「わかってた?」
葵
「バカ……」
「そりゃわかるよ」
先生
「ちゃんと嫌そうな顔して来た?」
葵
「来た」
先生
「偉いなぁ」
そう言ってあたしの頭を愛おしそうに撫でてくれる。
そんな風にされたらさっきまでのモヤモヤすらどうでも良くなってしまう。
先生
「休みの間めっちゃ会いたかった」
「なぁ……ぎゅーしていい?」
葵
「うん!」
ふわっと腕が回ってくる。
力が強いわけてもないのに逃げ場がなくて。
でも嫌じゃない。
むしろ安心する。
先生
「教室の…嫌なとこみせてごめんな?」
葵
「そんなのもうどうとも思ってないよ」
先生
「俺はこれからも葵しか好きじゃないし誰にも目移りなんてしねぇよ」
そう言われると、怒る気持ちもどこかへ行ってしまうのが悔しい。
葵
「……ばか」
先生
「……大好き」
葵
「あたしも大好き」
お互い抱き締めてる腕に力が入った。
先生
「そういえば今日補講のプールだっけ」
そうだ今日は牛沢先生に年内までに先生とやれって言われてた補講の日だった。
ちゃんと水着持ってきた。
今日こそは絶対溺れない!
先生
「うっしーがさ2人で泳げば?って」
葵
「それって?」
先生
「2人きりってこと」
そう言って先生は唇に触れるか触れないかのギリギリの場所にキスをしてきた。
葵
「…っ!!」
先生
「んは照れてんじゃんキスされると思った?」
葵
「ちがっ……」
先生
「顔真っ赤じゃん」
そんなこと言ったって先生の耳も真っ赤だよ。
可愛い……
先生
「そろそろ二限始るな…」
「てか次体育だっけ?」
葵
「あ、」
体操服持ってくんの忘れてた!!
先生
「体操服わすれたん?」
「なにしてんだよ〜」
葵
「んははなんでわかんの」
先生
「葵の顔見たら何考えてるかすぐわかるわ」
あたしのこと大好きすぎるでしょそれ。
そんな所も好き。
もう全部好き!!
葵
「サボろっかな…」
先生
「俺も次暇だしここでゆっくりする?」
「勉強も疲れたっしょ?」
葵
「……え、いいの?」
補講なんて今日のメインイベントだと思ってたのに、まさか先生と一緒にサボれるなんて!!
先生
「だからSwitch持っておいで?」
葵
「わかったすぐ帰ってくる!!」
先生
「男にナンパされんなよ〜」
葵
「そんなやついねぇよ」
先生
「あおちゃん可愛いからなぁ」
葵
「すぐ帰ってくるから」
先生は軽く頭を撫でて微笑んだ。
あたしは急いで教室に戻ってSwitchを取りに行った。
それからの1時間はひたすらゲームしつつ、勉強の代わりに英語の単語しか言ってはいけないゲームをして惨敗した。
先生
「また呼ぶから来いよ?」
葵
「図書室もう飽きたん?」
先生
「そんなことねぇけど…狭いしイチャイチャできるくね?」
葵
「ほんっと変態だな」
先生
「変態?いやいや愛情表現だろ」
葵
「言い訳すんな」
先生はふふっと笑いながら、手を差し伸べてきた。
狭い準備室の中で手を繋ぐだけでも心臓がドキドキして止まらなかった。
そんな楽しい時間はあっという間に過ぎていって、チャイムが鳴った。
葵
「もう二限終わっちゃった?」
先生
「早すぎだな…そろそろ授業戻るか」
ずっと一緒にいたのに……まだ寂しい。
まだ一緒に居たい。
葵
「ね、待って最後にぎゅー⋯して?」
先生
「襲えってこと?」
葵
「何言ってんだこいつ…」
先生
「あ、違う?」
先生がニヤニヤしながら笑った。
あたしの手を引いて優しく包んでくれる。
先生
「次の授業も頑張れよ」
葵
「……うん先生もね」
先生
「よし!頑張ろ!!!!」
耳元でありえない声で喝を入れてきた
この人やばい。
いつか鼓膜破れるかもしんない。
葵
「あああっ!!耳が死ぬうるさい!!」
先生はクスクス笑いながら扉を開けた。
笑ってんじゃねぇよ
先生
「じゃあな終礼終わったら迎えに行くわ」
葵
「……はい」
先生はあたしの頭を撫でて職員室に向かっていった。
教室に戻ったら二限サボったせいでナチに
「キヨとなにしてたん?え、え、??!最後まで?しちゃった?学校で?」
って聞かれて思わず殴っちゃった。
めっちゃうざかったけど、さっきでのことを思い出していたら自然と笑みがこぼれていて、幸せな気持ちになった。
あぁ大好きだなって
ナチ
「その顔キモ〜」
「結局ぎゅーまでしかしてないんかぁ」
「相当キヨっちも我慢してんだな」
葵
「あたしもその覚悟はまだできてないしな」
ヒラ
「……なんで俺の前でそんな話すんの!?!」
葵
「はいはい今度海でもいこうな」
ヒラ
「…いや行くけど」
そんなこんなで適当に授業を受けていたら6限になっていた。
こーすけ
「俺帰るけど葵は?」
葵
「今日プールの補講あんの」
こーすけ
「んじゃ先帰るな」
葵
「ん、夜ご飯いるから」
こーすけ
「りょーかい……あんまハメ外すなよ」
葵
「いやなんもしねぇよ?!」
こーすけは疑うような目を一瞬だけ向けてからふっと息を吐いた。
こーすけ
「はいはいなんかあったらすぐ言って?じゃあ俺、コンビニ寄ってから帰るわ」
葵
「いってら〜」
手を振ると、こーすけはあたしに「溺れんなよ〜」とだけ言って廊下を曲がっていった。
……いや、何もないよね…?流石に
いや先生となら少しちょっとなんかあっても全然嬉しいけど。
ちょっとくらい付き合った日みたいな大人なちゅーもう1回したい。なんて思ってしまう。
先生
「よっ!迎えに来たぞ〜かなずちー!」
その声に一斉に視線が集まって、教室がざわっとする。
葵
「……う、うるさい声がでかい!!」
生徒
「あぁキヨっちじゃん!!」
女の子3人くらいが先生に近ずいてベタベタ触る。
先生
「触んな触んな今から用あるからまた今度な〜」
生徒
「え〜最近なんか冷たくない?」
「彼女でもできたん?」
グサッ!!!
痛いとこ突いたなこいつ。
そして今先生と目がガッツリ合ってる。
え、何その気まずそうな顔。
……言うのかな正直に。
先生
「まぁいるよそれがさめっちゃかわいいのよ〜」
「バレたら彼女っちに怒られっからさ、距離感考えような」
か、可愛い?!えええっ!!?
その場にいた生徒全員が先生を唖然とした顔で見つめた。
そりゃそうなるよな。
学校で大人気の先生に彼女が出来たら。
その彼女がまさか目の前にいるなんて誰思わないでしょ。
生徒
「……え?彼女……?」
生徒
「まじかよいつできたん?」
生徒
「どんな子?」
先生
「はいはい詮索禁止〜おーい引っ付くな」
生徒
「いいじゃーんバレるわけないって」
軽いノリ。
冗談みたいな声。
……彼女できたって言ったよね?
それでも距離詰めてくるの正直意味わかんない。
先生
「いや良くねぇから」
「俺が嫌なのマジでやめろ」
さっきまでの緩い声じゃなくて、少し低いトーンで喋ってる。
ちょっと怒ってる?
あたしのために?
生徒
「ふーんつまんな」
その女の子達は興味を失ったみたいに離れていった。
あたしはその奥にいる、朝先生に話しかけてた女の子を見逃さなかった。
なんとも言えない顔で先生を見てる。
相当好きなんだろうなと思った。
先生
「待たせたな行こっかカナズチ」
葵
「うんやめろ?」
廊下を歩いていると、
ふたりで並んで伸びる影が、やけに様になっていた。
いつか、あたしの彼氏が先生だって自慢できる日が早く来て欲しい。
そうしたらもう誰にも好かれないで済むのに。
葵
「……びっくりした」
先生
「なにが?」
葵
「彼女いるって」
先生
「あ〜否定するより早いと思ってさ」
「俺あぁいうのすきじゃないんだよな」
「葵にだったらいいけどさ」
「葵も見てて嫌でしょ?」
そう言って、前を向いたまま小さく笑う。
葵
「まぁ……あたしの彼氏だから正直嫌」
先生
「んはは可愛いこと言うじゃん」
先生はあたしの頭を撫でてきた。
あぁ落ち着く。
この手に愛さてるって実感するだよな。
先生
「多分あいつらまた来ると思うけどちゃんと辞めさせるから」
「葵が嫌な思いするの俺が一番嫌だし」
なんでそんなことサラッと言えるんだよ。
葵
「……あたしのこと好きじゃん」
先生
「そりゃ自慢の彼女だからな」
そんなこと言うから胸の鼓動が止まらない。
「自慢の彼女」か……
嬉しすぎて死にそう。
あたしが誰かの自慢になれる日が来るなんて。
葵
「ばかっ」
先生
「ん?事実言っただけだけど?」
ガラスに反射した光がまぶしい。
先生は先に歩き出して、少しだけ振り返る。
先生
「無理なことあったらすぐ言えよ?」
「俺より先に死なれたら困る」
葵
「いや今日は溺れないもん」
先生
「フラグ立てんなよ」
葵
「おい」
先生
「ほら、行くぞカナズチ」
葵
「だからその呼び方やめろって!」
先生が走り出したからその後ろを追いかけた。
突然止まっと思えば……
先生
「おいおい男子更衣室に入ってくんな」
葵
「え、あっ」
先生
「この変態っ!」
葵
「ち、違うし!!先生が急に走るから!」
先生
「はいはい」
軽く頭をぽんと叩かれて、
更衣室の前で立ち止まる。
先生
「じゃまた後でな」
葵
「か、帰ってもいい?」
なんかどんどん怖くなってきた。
夏のことがフラッシュバックしてくる。
先生
「いやだめだからな?
俺がなんかあったら助けるし安心しろ」
葵
「わかった着替えてくる……」
先生
「偉い!後で密着しような」
葵
「えっと警察呼んどくわな」
先生
「先生ほんとに職失うからやめれる?」
更衣室の前で、思わず吹き出してしまう。
葵
「まぁまぁでもちゃんと受けるから」
先生
「んじゃすぐ着替えるわ」
そう言って、親指を立てる。
あたしは小さくうなずいて、更衣室のドアを開けた。
さっきまでの怖さは、少しだけ遠のいていた



