ドンッ!!バタバタッ…!


先生に対する思いが募っている中その音で突然現実に戻された


扉の向こうからすごい音すんだけどなに!?
絶対こーすけとヒラじゃん
今は空気読んでくれ!!!!!

家の扉が開いた


こーすけ「おおやっぱりいた!!おかえり葵!!」


タイミング考えろ!タイミングを!!!


葵 「た、ただいまこーすけ」

こーすけ「あ、先生もいんじゃん!今日もラブラブだなぁ」

先生 「やめろってあはは」
「じゃあ俺帰るわ」

ヒラ 「わぁ!先生!今からゲームしません!!?」

先生 「なんでもお前もいんだよ!」

こーすけ 「みんなでやった方が楽しいし先生、家入ってよ」

葵 「え!!!いいの!!?」


え、これ夢?先生あたしん家入るの?やばいよ
何事?


こーすけ 「ご飯も食べてってよ葵も喜ぶし」

葵 「こーすけ好きだ!!!」

こーすけ 「はっ!俺死ぬの?今日しぬ?初めて言われたんだけど!!!なに?流石に可愛いって葵!!」



だめだこの男シスコンすぎる
けど今はこーすけが神様に見える




葵 「やっぱりきらーい」

こーすけ 「ヒラぁぁぁぁ!!!」

ヒラ「とりあえず家入ってよ暑いでしょ」

葵 「いやお前ん家じゃねぇんだよ」

ヒラ「えっ、俺こーすけと同棲してる気でいた」

こーすけ「ちょっと待てそれはきもい」

ヒラ「ま、細かいことはいいから上がって上がって〜!」


先生「まじでいいの?」


こーすけ 「なんなら泊まってく?」


ナイスこーすけ!!
アシスト良すぎだろ


葵「え!服あるよ!!大きいサイズ!!」

先生 「えーどうしようかな」

ヒラ「サイズぴったりだったら運命だね」

こーすけ「運命ってそういうもんじゃねぇよ!」

葵「さあ先生、覚悟を決めてあがりたまえ!!」

先生「なんで上からなんだよ、まぁとりあえずゲームだけして帰るわ泊まりはまた今度にする」


やったぁぁぁ!!また今度家に来てくれるってことだよね!!やばい。やばい、やばい!!!
先生が家に…!!!がはぁ死ぬぞあたし


こーすけ「まぁとりあえず中はいろ!暑いし」


こーすけが先生の背中を押して家に招いた


先生「お邪魔しまーす!」


先生がリビングにいる!新鮮すぎて自分の家じゃないみたい



先生 「うわぁぁ!!!フジもいんじゃん!!」

フジ 「先生!久しぶりですね!!」

葵 「え、なんでいんだよ!!」


そこには4月の図書委員会議ぶりの藤井がいた


ソファーに足を組んでベースを持ちながらこっちを見てる。様になっててちょっとかっこいい。
なんだこいつ

ヒラもそうだけど、なんでみんな自分ん家みたいにしてるわけ?ここあたしん家なんだけどな



フジ「逆になんで坂木いんの?」

葵 「いやここあたしん家だから」

フジ 「え!こーすけって坂木と付き合ってんの!?」

こーすけ 「ちげぇよ家族だよ、言ったことなかったけ?」



「なー葵?」みたいな顔をしてこーすけはあたしの頭を撫でながら肩を組んできた



フジ 「初耳だわ、世間て狭いなぁ」

こーすけ 「葵はフジと仲良いの?」

葵「良いも何も2回しか喋ったことねぇよ」

こーすけ 「えぇ!絶対相性いいって!」

ヒラ 「フジはいい人だから仲良くなれるよ!」

先生 「ドMだけどな」

フジ 「違うわ!!」

こーすけ 「お互い呼び捨てで読んでみたら?雰囲気だけでも仲良しに見えるでしょ」

葵 「え〜フジ?」

フジ 「あ、葵っ//」


なんかフジが顔隠して悶えてんだけど
何この人、見た目厳ついのに癖強すぎだろ




キヨ 「名前言うだけで照れんな!!きめぇ」

ヒラ「痛ってぇぇ!!」

葵 「何してんだよヒラ!!」

こーすけ、フジ 「あはははははは」



先生はなんか怒ってるし(嫉妬であって欲しい)
ヒラが近くにあったビリビリペン触って叫んでる
し、フジとこーすけはそれ見てツボってるし、情報量多いわ!!!!



こーすけ 「あ、そうだ!最俺が集まった事だしマリカするか!」


そう言ってこーすけはSwitchをテレビに繋げてくれた


テレビの前で円になるようにみんなで座った

こーすけ、先生、あたし、ヒラ、フジの順で


先生「よし今から敬語使うの無しな!」

こーすけ 「キヨおおお!!」

先生 「久しぶりの再会みたいなんやめろよ!」

ヒラ 「去年の文化祭ぶりだね!!」

葵 「最俺?ってなに?」

こーすけ 「え、去年の文化祭何してたんだよ」

先生 「最俺知らねぇのやべぇよ」

葵 「ん〜ナチ達と屋台食い漁ってたな」

先生「ああ!!待って俺覚えてるぞ!お前、焼き鳥咥えながら走ってたよなぁ!!!」

葵「うそでしょ!?なんで知ってんの!?やばい!黒歴史!!」

先生「マジで笑ったわ今と変わんないな、そういうとこぎゃははは」

葵「え、今の褒められてる?」

こーすけ 「イチャイチャすんなって」

ヒラ 「あははは付き合ってんの?」

葵 「やめろって」


ナチ達以外にそう言われたことがあまりないからちょっと照れる



先生 「でな、毎年文化祭で俺ら集まってゲームしてんのよ、でその名前が最終兵器俺達」

葵 「へー!おもろそう!」

フジ 「結構評判良かったよな!」

先生 「お前らとの活動もう今年で最後かぁ」

こーすけ 「俺ん家で集まればいつでも出来るけどな?」

ヒラ 「今年は何する予定なの?」

先生 「最後だし学園ハンサムの実況でもいいんじゃね?」

ヒラ「やるなら俺、ずっと顎伸ばしとくよ」

葵 「キモすぎだろ!!再現すんなよ誰が見に来んだよ」

こーすけ「俺らの黒歴史として永遠に語り継がれるぞ、それ」

先生「でもちょっとそれ見たいわ」

フジ 「俺らは面白いけど他の人は盛り上がれる?」

こーすけ 「俺らだったらできるだろ!顎伸ばしてまでやんだからな」

ヒラ 「ちょっといじんないで?」

フジ 「ぎはっはっははまぁそうだなキヨもいるしな」

先生 「じゃあ一旦それで行こうか」
「ちゃんと顎伸ばせよヒラ」

ヒラ 「任せてよ!!」

こーすけ 「葵今年は見に来いよ」

葵 「そうだねナチ達に言っとく」

先生 「楽しませてやるよ」

ヒラ 「キュン♡」

先生「はいはい可愛い可愛い!」




そう騒ぎながら無邪気に皆と話してる先生が、誰よりも高校生っぽくてすごく輝いて見えた。

それがこの人の本来の姿なんだ


先生が前に、教師は向いてないって言ってた理由が少しわかったかも。

でもあたしにとってはそんな生徒と対等に関われる先生が大好きだ



なんか、ずるいよね。

そんな姿を見てると
“生徒と教師”っていう立場とか、
そういうの全部、忘れちゃいそうになる


マリカで騒がしい中あたしは小さい声で



「先生大好きっ」



と呟いた


お願い聞こえないでくれ


目をまん丸にした先生と目が合う


「バカタレ聞こえてんぞ〜」


って先生がニコニコしながらあたしの頭を撫でた

心臓何個あっても足りねぇよぉぉ!



こーすけ「ちょ!おいキヨ!俺の葵とんなよ!」

先生 「こーすけのじゃねぇーし」

フジ「うるさい今試合中だってば!!」

ヒラ「キヨ今サンダーやめてぇ!!」

葵 「うわぁぁ落ちたぁぁ!!」

先生 「お前ほんとマリカ下手だな!!」

先生「おおおおいい!!!ラーヒー!!俺を踏むな!!」

ヒラ 「あ、踏んでた?ごめんごめん」

フジ 「よっしゃ!勝ったぁ!!!」


すると突然あたしの電話がなった
画面にはナチの名前


ヒラ「待って予想させて!それナチだ!」

葵 「おお!正解ヒラすげぇ!」

こーすけ 「葵に電話かけてくるのナチしかいねぇもんな」


葵 「お前殺すぞ」

葵 「みんなちょっと静かにしててね」


そうしてあたしはその場でナチの電話に出た


ナチ 「おっす〜今あおちん何してんの?」

葵 「今は〜先生とかと、家でゲームしてるよ」

ナチ 「はっ!?なに?何事?え?きよちん家いんの?!もう付き合ってんのか!!?」

ナチがそう言った瞬間に後ろの方でナナとアリサが騒いでる声がした

いいなぁみんな集まってんのか…寂しいな

先生以外の3人がニヤニヤしてこっち見てくる
うぜぇこいつら!!!


葵 「後ろの2人うるせぇよ!で、どしたん?」

ナチ 「えとな、今から集まろかぁってなってでも先生といるならまた今度誘うわ」

葵 「え〜行きたいよー!」

こーすけ 「みんな家来たら?」

キヨ 「いいじゃん呼べよ」

ヒラ 「人口密度バカになるけどね」

フジ 「あはははっはははははは」


フジは何が面白くて笑ってんだよ


ナナ 「ちょ!まって待ってくれ!!今の笑い声だれ?!!!!」


ナナが興奮気味にそう言った


葵「フジだけど知ってんの?」

ナナ「ふ、フジってあの藤井くんだよね!!やっばいどうしよう!!だめ!!メイク崩れてるし、会えない会えない!!こんなんじゃダメっ!」


何どういうことよフジって有名人なの?


葵「何事?なんでそんな興奮してんだよ」

ナチ「ナナ藤井のオタクなのよ」

ナチによると、フジは文化祭で最俺の他にバンドをやってて、
その姿がナナにはかっこよくて、憧れで、尊い存在らしく、毎年最前でフジを応援してるんだとか。所謂限界オタクらしい


ナナ 「行けないです会えないです死んじゃうよあたし!!!」


フジ 「あはははっ久しぶりだねナナちゃん」


ナナ 「ぎゃぁぁぁぁぁかっこいい!!ねぇ!!藤井くんにナナちゃんって言われた!!!」

アリサ 「うるせぇって!!」


先生「つまんねぇー俺もキャーキャー言われてぇなー」



そう言って先生はあたしの顔見てきた

あたしは「そんなのしません」って目で訴えたらこーすけのこと殴ってた笑笑



こーすけ、先生、ヒラがフジに嫉妬してる顔をしてる

この光景めっちゃ面白い


ナチ 「と、とりあえずナナがこんなんだから家は行けそうにないわ!また今度誘うから来てねぇ!」

葵 「次は1番目に誘えよ!!」


そうして電話を切った
あんな感情乱れてるナナ初めてだったなぁ
推しの力ってすごいわ


ヒラ「フジはほんとナナちゃんに愛されてるねぇ」

葵 「初めてあんな興奮してるナナ見たわすげぇなお前」

こーすけ 「ベース持ったら人変わるもんな」

キヨ 「あの時のフジだけはかっこよく見える」

ヒラ「ナナちゃんが毎年文化祭でフジの写真50枚くらい撮ってたの知ってる?」

葵 「えええ!!そうなん!!あたしずっと一緒にいるのに知らなかったんだが」


たしかに4人で文化祭を回ってる時ナナだけいない時が時々あった。

フジを見に行ってたのか、やっと辻褄が合ったわ

ナナの見た目はあの漫画に出てくるNANAそっくりで、
フジはバンドしてるし、ほんとに付き合ったら
漫画どうりになるの。やばいちょっと見たいかも


フジ「おぉ、なんか可愛いね」

こーすけ「モテるなぁフジ!付き合っちゃえよ」

フジ 「え〜まだちょっとしか話したことないんだよなぁ」

ヒラ 「夏休みに会う予定立てようよ!」

先生「俺も青春してぇぇ」


そう言って、先生がふてくされたみたいにソファーに倒れ込む。


葵 「先生は変な子にしか好かれないもんねぇ」

先生 「でもお前が俺の事好きだったらそれでいいわぁ」

葵 「うっ…//」


爆弾すぎるだろ!!!
こーすけしかあたしと先生の仲知らないのに!!


フジ 「うわぁぁぁぁお前ぇぇ!!」

こーすけ 「ちょ!それ俺以外に言っていいのかよ!!!!」

先生 「まぁもうこーすけも知ってる事だし、お前らだったらいいだろ」

ヒラ 「ってことは先生ほんとに、」

フジ 「葵のこと、特別なんだな」

その言葉に、先生はふっと目線をそらして、笑う。

先生 「そう思われても仕方ないわな!お前ら葵取んなよ〜」

先生の指がさりげなくあたしの手に触れた。
バレないように隠して。
今までで、1番ドキドキする
先生ってほんとずるい



ヒラ 「葵は無いよ〜!!!」

葵 「おい!そんな元気よく否定すな!あんたと4歳からの仲なのに!」

こーすけ 「俺の葵が…」

先生 「いや、俺のだから」

葵 「ぎゃぁぁぁ!!!」


なんだよそれ!!!!思わず叫んだわ
何だこの大人は!!!しかも結構ドヤ顔だし
ムカつくわ〜


「俺のだから」「俺のだから」「俺のだから…」


ダメだ永遠ループしてる、頭から離れない
まだ付き合ってもないのに、なにこれ
あたしやっぱり今日死ぬのかな


こーすけ 「目の前でイチャイチャすんなよ!」

フジ 「キヨが1番青春してんじゃねぇか!!」

先生 「あ、もう8時半じゃん、そろそろ帰るか」

こーすけ 「照れてるからって話変えんなよ!」

先生 「ぎゃはははは照れてねぇーし!」


そう言いながらも先生の耳は真っ赤なんだよ
嘘が下手だなぁ…でもそういうとこが好き!!!!


ヒラ 「なんかいいなそういうの」

フジ 「まぁ、キヨが真剣ってのは伝わったから、俺らはなにも言わねぇよ」


なんだよこいつら
良い奴すぎるだろ
先生の周りにいる人たちは、いつもこうやって相手の気持ちを理解できる人ばっかでさ

あたしが、そんな中に混ざってていいのかな
って、時々ふと不安になるけど、


今は、この輪の中にいられることが、ちょっと誇らしく思う


こーすけ 「ご飯あるから食べて帰ってよ」

キヨ 「そこまでしてもらっていいのか?」

こーすけ 「葵が喜ぶからさ」

葵 「い、いや喜ばねぇし」


なんでこんなあたしは素直になれないんだよ…
一緒に食べたいし、夏休みはずっとここにいて欲しいし、補習もここでしてくれ、あたしの家庭教師になってくれ


ヒラ 「相変わらずツンデレだなぁ葵ちゃん」

葵 「きも!ちゃん呼びやめろ」


こーすけ 「じゃあとりあえず、飯にすっか!!」

ヒラ 「今日のご飯はなに?」

こーすけ 「カレーだよ俺が作ったから美味いぞ」


先生 「カレーは誰が作っても美味いだろ」

葵 「いやこーすけのカレーは世界一美味いよ!」

こーすけ 「えーー!!葵がそんなこと言ってくれんの?!嬉しい𝑆𝐴𝑆𝑈𝐺𝐴𝑁𝐼やばいわ」

先生 「でた!!!!!𝑆𝐴𝑆𝑈𝐺𝐴𝑁𝐼!!!!!」

フジ 「𝑆𝐴𝑆𝑈𝐺𝐴⤴︎𝑁𝐼」

ヒラ 「誤魔化してイクゥ〜」

こーすけ 「みんな俺のこと好きすぎるだろ」


そうしてリビングのテーブルに、人数分のカレーが並んだ。
ほんとにこーすけの作ったご飯は、なんでも美味しいしくて自慢できてしまう。あんたはあたしのお母さんだ。


ヒラ「んまっっ!!!」

フジ「これほんとにこーすけ作ったの?」

こーすけ「失礼な!?誰が毎日葵の飯作ってると思ってんだよ」

先生「いやまじでうめぇわ、俺ここに住みてぇ」

葵 「え!住んでよ!!」

こーすけ「水道代とか貰うけどいい?」

先生 「それは嫌だ」


この雰囲気好きだなぁ


いつもならどこかで“先生と生徒”ってことを思い出して、ちょっと距離を置いちゃうのに、
今だけは、ほんとに「普通の高校生」みたいだった

あたしの家に先生がいて、隣でご飯を食べてる
こんな時間が、いつまでも続けばいいのにって思った。ずっと一緒にいたい。本当に住んでくれないかな


ご飯を食べ終わってからあたし達はジェイソンとかカードゲームとか沢山した
今日一盛り上がってすごく楽しかった

ふと時計を見ると、もう23時をまわっていた


先生 「うわもう10時じゃん」

こーすけ 「ほんとに泊まんなくていいの?服あるけど」

先生 「明日も仕事だしさすがに帰るわありがとな」


「このバカのせいで」みたいな顔して思いっきりデコピンしてきた。加減を知らねぇのかこいつは!!


葵「痛ってええええ!!!」

こーすけ 「まじで俺らの前でイチャイチャすんな」


先生がゆっくり立ち上がって、玄関の方へ向かう。それにみんながついて行く

帰っちゃうんだ先生、寂しい
まだ一緒にいたいのに…



ヒラ「キヨ〜本当に帰っちゃうの?寂しい!!」

フジ 「じゃあ俺も明日バイトだし帰るわ」

ヒラ 「またねぇ〜!」

フジ 「俺にも名残惜しのくれよ!」

ヒラ 「フジはいつでも一緒会えるもん」

フジ 「明日バイト終わり来てもいい?」

こーすけ 「おう待ってるわ」

先生 「え〜じゃあ俺も来ようかな」

葵 「来なくていいよ」


な、何言ってんの!?あたし何言ってるの?!
先生がこの家を気に入ってくれてそう言ってるのにありえない
とことん素直になれない。酷い人間として酷いわ


先生 「あはははお前は本当ツンデレだなぁ」


そう言って先生は笑顔であたしの頭を撫でた
ずるいよ…先生はほんとに


葵「ふ、フジに言ったんだよ!」

フジ 「え、俺?!嘘だとしても傷つくんだけど!!」

先生 「ぎゃはははじゃあまた明日なー!」

こーすけ 「2人とも気をつけて帰れよー!」


フジ 「家まで送ってよ」

先生 「嫌だ1人で帰れよ」



フジは不貞腐れた顔をして先に家を出た


こーすけ 「あ、ちょっとやる事あるんだ!ヒラ行くぞ」

ヒラ「えっ?あっうんそうだね!」


演技下手か!!いや気を使ってくれてるのはありがたいよ?けどモロバレしてんだわ


「あいつら気使うの下手すぎるだろ」

「ほんとにな、あんなんじゃバレバレすぎて逆に笑うわ」


靴を履いてる先生の横顔が、いつもより大人に見えた。
はぁかっこいいなぁ…
もう帰っちゃうんだ…


先生が扉を開けて振り返った


先生 「今日はありがとな」

葵 「こっちのセリフよ来てくれて、ありがと」


外の空気が少しだけ夜の風が吹き込んだ。
スズムシの声が聞こえて、空はもう真っ暗で。
あたしの心は寂しくて苦しい



「じゃあ、また明日な!明日は遅れんなよ〜?」

「わかってるよ」


ドアを閉める直前、先生がふっと振り返って、


「そんな顔すんなよ帰れねぇだろ」

「だって…」


なんか泣きそう
こんな気持ちになるの初めて
あたしこんなに先生のこと好きなんだ…


「明日も会えるじゃーん!ほら、風呂入ってすぐに寝ろ?な?」


先生が困った顔をしてそう言った
申し訳ない…
だけどまだ帰って欲しくないんだよ



「まだ…行かないで?寂しいっ」

「葵ずるいわそれ」


そう言って先生が扉を閉めてこっちに近ずいてきた。


「先生っ?」

「葵っ」

ナ、ナンデスカ!!!ナニサレルンデスカ!!
ギューデモシテクレルンデスカ!!!??!


先生はあたしの頭を撫でるふりを、髪をしてぐちゃぐちゃにしてきた

こいつ!!!!!


「おおおい汚くなるだろ!!やめろやぁ!!!」

「ははははははお前は笑顔が1番だぞ!!じゃあまた明日な!!!」



そう言って先生はフジと帰っていった


なんだったんだ今の…
でもすっごく嬉しいかった


あたし、今めっちゃ幸せかも!!



もうこの夏はきっとすぐ終わっちゃうけど
今日は、ずっと忘れたくない思い出になりそう。

明日も明後日も、きっともっと好きになるんだろうな

ずるくて、優しくて、かっこよくて、面白い、
先生なのに高校生みたいな人のことが。








次の日私は、先生が言った「俺のだから」と「笑顔が1番だぞ」が離れないせいで全然寝れなくてまた遅刻した