プールに戻ると、さっきまでの空気とは少し違って、
どこかピリついたというか……“気まずさ”が混ざってる気がした。
でもそれは一瞬で、ナチがこっちを見て手をぶんぶん振ってきた。
「おかえりぃ〜生還者〜〜!!大丈夫か!!」
「危なかったわマジで死にかけよ!!」
照れ隠しにナチを叩いて、なんとか平然を装って自分の場所に戻る。
でも…やっぱり視線、気になる。
特に、ガチ恋勢の女子たちのヒソヒソ話。
さっきお姫様抱っこされてたの見られてたから、そりゃそうなるよな……。
もう、いろんな意味で死ぬかと思った
ナチが近づいてきて、ひそひそ声で聞いてくる。
「どうだった?」
「何が」
「先生にお姫様抱っこされた感想〜!」
「殺すぞ」
「はいはい、照れてるのはバレバレです〜」
ナチは満面のニヤニヤ顔で去っていった。
ホントうるさい。
それでも、口元が緩んでしまうのを止められなかった。
更衣室で着替えてると1人のガチ恋の子が話しかけてきた
「……葵、さ先生と、付き合ってんの?」
「はぁ!?付き合ってるわけないじゃん何言ってんの」
「だってさ、今日の感じ……普通じゃなくない?」
「助けられたらあんな感じになるだろ」
「ふーん……まあ、でも先生かっこいいもんね、仕方ないか」
なんだ今の言い方は!!!!
あたしほんとこの子苦手だわ
モヤッとしたものが喉の奥に残ったけど、反論するほどの余裕もなかった。
疲れてるし、なにより、心の中がまだ落ち着いてない。
それから今日あったことをナナ達とこーすけに話した
今後一切プールに入るなときつく言われた笑笑
終礼が始まった
「てことで前期よく頑張ったな!お疲れ様!夏休み、はめ外さず受験勉強もしっかりして過ごせよ〜以上ホームルーム終わり!!」
あぁそっかもう受験生か
あたしなーんも勉強してねぇやべぇ
「キヨちんのとこいくん?」
「ちょっと話してから帰るわ」
「おっけいバイバーイまた集まろうな!」
「おう!LINEするわ!」
ふと運動場を除くと先生がサッカーをしてた
何よりも誰よりも輝いて見える
それを今は近くで見たい
気づいたらあたしは運動場に居た
運動場では、先生とサッカー部がサッカーの試合をしていた。あ、そういえば先生サッカー部の顧問か
「お前ら!ちゃんとパス出せパス!!」
「センセー走るの早すぎっす!」
「お前らが遅ぇんだろ!」
笑いながらボールを追いかける先生は、教室で見るよりずっとラフで、
いつものだるそうな姿よりも、なんか自由で、かっこよく見えた。
風が吹いて、先生の前髪が揺れる。
その隙間からのぞく横顔が、なんだかすごく遠くに感じて――でも、
あたし、あの人に恋してるんだな
って、不意に実感した。
その瞬間、胸がぎゅっと苦しくなった。
「よっ!葵」
すると後ろから声をかけられた
「うわぁラーヒーじゃん久しぶり!!」
そこにはサッカー部であたしの幼馴染の平川がいた
「こんなとこで何してんの〜?」
「うーん黄昏てた?」
「あ、葵が?!珍し!なんか頭ぶつけた?大丈夫?」
「殴るぞ?」
「あははは葵はやっぱり面白いねぇ」
「てかラーヒーは何してんの?」
「あー俺は疲れたから休憩してるよ」
「お疲れさん」
すると先生と目が合った
「うわ葵じゃん!!!」
先生があたしの名前を叫びながら笑顔でこっちにボールを蹴りながら近づいてくる。
「見てたのか?俺の華麗なシュート」
「んー?全然?今のミスってたやん」
「お前ほんと素直じゃねぇよな〜」
そう言って、ボールを手に持ちながら、私の隣に立った。
先生がなんかラーヒーを圧かけてるように見つめてる
やめてあげて?怖いよ?
「じゃ、じゃあ俺行くわ!」
「おう頑張ってな!!」
ラーヒーは逃げるように練習に戻って行った
なんか申し訳ない
「ヒラと仲いいの?」
「え、あ、幼馴染」
「ふーん」
「なんか怒ってる?」
「別に?怒ってねぇーよ」
絶対怒ってるじゃんそれ
「てか明日からちゃんと来いよ補習」
「うえぇなんで覚えてんだよ」
「そらお前しかいねぇもん俺の教科で赤点とったやつ」
「くっそお」
「だからマンツーマンな?みっちり教えてやるよ」
「こえええぇしばかれそう」
「あそれフリ?間違える度にシバいていいんか?」
先生がニヤリと笑いながら言ってきた。
「ダメに決まってんだろ!!」
「まぁ、冗談だけどよ。でも、お前が頑張んなかったら、それなりにスパルタするかもな?」
「え、じゃああたしが頑張ったら?」
先生が少しだけ目を細めて、遠くの方を見てる
夏の夕日でちょっと影になってる顔がずるい
「……そんときは、ご褒美、考えとくわ」
「ご褒美って何よ」
「さぁね、期待しとけよ」
――やばい、なんか心臓ドクンってした。
先生からご褒美が欲しい
それがあれば、なんだって頑張れる気がする
「じゃあ帰るわあたし」
「おう気おつけてな」
「また明日」
「ちゃんと来いよ〜!」
そう言ってハイタッチして帰った
世界がキラキラしてる気がする!
夏休みも先生に会える!!!!
こんな嬉しいことないかも
赤点とってよかった!!!
明日早く会いたいからもう帰ってよう済ませたら寝よう!!
どこかピリついたというか……“気まずさ”が混ざってる気がした。
でもそれは一瞬で、ナチがこっちを見て手をぶんぶん振ってきた。
「おかえりぃ〜生還者〜〜!!大丈夫か!!」
「危なかったわマジで死にかけよ!!」
照れ隠しにナチを叩いて、なんとか平然を装って自分の場所に戻る。
でも…やっぱり視線、気になる。
特に、ガチ恋勢の女子たちのヒソヒソ話。
さっきお姫様抱っこされてたの見られてたから、そりゃそうなるよな……。
もう、いろんな意味で死ぬかと思った
ナチが近づいてきて、ひそひそ声で聞いてくる。
「どうだった?」
「何が」
「先生にお姫様抱っこされた感想〜!」
「殺すぞ」
「はいはい、照れてるのはバレバレです〜」
ナチは満面のニヤニヤ顔で去っていった。
ホントうるさい。
それでも、口元が緩んでしまうのを止められなかった。
更衣室で着替えてると1人のガチ恋の子が話しかけてきた
「……葵、さ先生と、付き合ってんの?」
「はぁ!?付き合ってるわけないじゃん何言ってんの」
「だってさ、今日の感じ……普通じゃなくない?」
「助けられたらあんな感じになるだろ」
「ふーん……まあ、でも先生かっこいいもんね、仕方ないか」
なんだ今の言い方は!!!!
あたしほんとこの子苦手だわ
モヤッとしたものが喉の奥に残ったけど、反論するほどの余裕もなかった。
疲れてるし、なにより、心の中がまだ落ち着いてない。
それから今日あったことをナナ達とこーすけに話した
今後一切プールに入るなときつく言われた笑笑
終礼が始まった
「てことで前期よく頑張ったな!お疲れ様!夏休み、はめ外さず受験勉強もしっかりして過ごせよ〜以上ホームルーム終わり!!」
あぁそっかもう受験生か
あたしなーんも勉強してねぇやべぇ
「キヨちんのとこいくん?」
「ちょっと話してから帰るわ」
「おっけいバイバーイまた集まろうな!」
「おう!LINEするわ!」
ふと運動場を除くと先生がサッカーをしてた
何よりも誰よりも輝いて見える
それを今は近くで見たい
気づいたらあたしは運動場に居た
運動場では、先生とサッカー部がサッカーの試合をしていた。あ、そういえば先生サッカー部の顧問か
「お前ら!ちゃんとパス出せパス!!」
「センセー走るの早すぎっす!」
「お前らが遅ぇんだろ!」
笑いながらボールを追いかける先生は、教室で見るよりずっとラフで、
いつものだるそうな姿よりも、なんか自由で、かっこよく見えた。
風が吹いて、先生の前髪が揺れる。
その隙間からのぞく横顔が、なんだかすごく遠くに感じて――でも、
あたし、あの人に恋してるんだな
って、不意に実感した。
その瞬間、胸がぎゅっと苦しくなった。
「よっ!葵」
すると後ろから声をかけられた
「うわぁラーヒーじゃん久しぶり!!」
そこにはサッカー部であたしの幼馴染の平川がいた
「こんなとこで何してんの〜?」
「うーん黄昏てた?」
「あ、葵が?!珍し!なんか頭ぶつけた?大丈夫?」
「殴るぞ?」
「あははは葵はやっぱり面白いねぇ」
「てかラーヒーは何してんの?」
「あー俺は疲れたから休憩してるよ」
「お疲れさん」
すると先生と目が合った
「うわ葵じゃん!!!」
先生があたしの名前を叫びながら笑顔でこっちにボールを蹴りながら近づいてくる。
「見てたのか?俺の華麗なシュート」
「んー?全然?今のミスってたやん」
「お前ほんと素直じゃねぇよな〜」
そう言って、ボールを手に持ちながら、私の隣に立った。
先生がなんかラーヒーを圧かけてるように見つめてる
やめてあげて?怖いよ?
「じゃ、じゃあ俺行くわ!」
「おう頑張ってな!!」
ラーヒーは逃げるように練習に戻って行った
なんか申し訳ない
「ヒラと仲いいの?」
「え、あ、幼馴染」
「ふーん」
「なんか怒ってる?」
「別に?怒ってねぇーよ」
絶対怒ってるじゃんそれ
「てか明日からちゃんと来いよ補習」
「うえぇなんで覚えてんだよ」
「そらお前しかいねぇもん俺の教科で赤点とったやつ」
「くっそお」
「だからマンツーマンな?みっちり教えてやるよ」
「こえええぇしばかれそう」
「あそれフリ?間違える度にシバいていいんか?」
先生がニヤリと笑いながら言ってきた。
「ダメに決まってんだろ!!」
「まぁ、冗談だけどよ。でも、お前が頑張んなかったら、それなりにスパルタするかもな?」
「え、じゃああたしが頑張ったら?」
先生が少しだけ目を細めて、遠くの方を見てる
夏の夕日でちょっと影になってる顔がずるい
「……そんときは、ご褒美、考えとくわ」
「ご褒美って何よ」
「さぁね、期待しとけよ」
――やばい、なんか心臓ドクンってした。
先生からご褒美が欲しい
それがあれば、なんだって頑張れる気がする
「じゃあ帰るわあたし」
「おう気おつけてな」
「また明日」
「ちゃんと来いよ〜!」
そう言ってハイタッチして帰った
世界がキラキラしてる気がする!
夏休みも先生に会える!!!!
こんな嬉しいことないかも
赤点とってよかった!!!
明日早く会いたいからもう帰ってよう済ませたら寝よう!!



