俺に好かれていたい、そういう気持ちはあるみたいだ。正直嬉しかった。
ちゃんと薬を飲むのを見届けて、また変な距離感で寝る。睡眠薬は飲んだようだけど、眠れないらしく、ずっとモゾモゾしていた。かくいう俺も、隣に好きな子がいるなんて思ってたら、ドキドキして眠れるものも眠れなかった。
翌朝。いつの間にか寝ていて、才菜のアラームで起きた。俺のアラームより早かった。
「ビックリした…俺らのデビュー曲じゃん」
「ごめん、何時起きだった?」
「今日は8時」
「あと1時間寝れたんだね」
「いいよいいよ、才菜の顔見れる時間長くなるだけだから。おいで?」
サラッと誘導したけれど、ぷいっとされて失敗に終わる。いいや、寝よ…。
8時に起き、支度をして出る直前。
「ゆっくりしてていいからね。じゃあ、帰る時連絡する!」
「うん。行ってらっしゃい」
「えへへ、行ってきます!」
夫婦みたいだな、なんてにやけてしまった。
単独バラエティのロケで、楽しい1日だった。
家に着き、鍵を回す。
「才菜ー!ただいま!」
返事がない。…というか、
「靴が…無い?」



