20分ほど待っていると、やや大きめのボストンバッグとリュックサック姿でやって来た。
「ん」
ボストンバッグを持とうと手を差し出す。だけどなかなか渡してこない。
「重いでしょ?」
「…」
半ば強引に持つと、才菜ちゃんの手に触れる。
「んっ…」
手に少し触れただけで、気絶しそうな才菜ちゃん。
アイドル冥利に尽きますなぁ。
それと同時に、ただ1人の人間として、彼女に想いを寄せてる以上、喜ばざるを得ない。
「じゃあまた才菜ちゃんと来ます」
「才菜、またね!」
「…はい」
タクシーを呼んで、また自宅に戻る。
「何持って来たの?」
「服とか…色々」
色々、がやたら小声だった。
違和感を覚えたけど、まあいいや。
才菜ちゃんがボストンバッグを開けて、服と謎のBluRayを出す。
「何これ?」
「あっ」
「飛貴くんバラエティ集…?こっちは、飛貴くんドラマ集」
才菜ちゃんはしゃがみこんで顔を手で覆ってる。
色々…ってのはそういうことか。
「可愛い。健気に録ってくれてたの?」
小さく頷いた。小動物みたいで可愛すぎる。
つい頭を撫でてしまう。
「本人すぐ横にいるんだから、必要最低限の物にしなくてもいいのに。そんなに好きなんだ?」
「…別に」
「傷付く!」
照れ隠しなのは分かるけど、傷付くって!



