駆け寄ろうとした時、ふと暗い思いが胸をよぎる。
嫌われてたらどうしよう?冷たい目で見られたら?
もうあの時みたいに笑いかけてくれなかったら──?
ぐっと目を閉じた時。
──『俺が勇気を出した分、瑠亜もその何倍も勇気出せよ!』
秀馬くんの声に、はっと目を開けた。
前に向き直り、一目散に駆け寄る。
「高峰くん……!」
「……え」
驚いた様子の高峰くん。
久しぶりに、目が合った。
ごめんね、ごめんね、ごめんね……。
頭の中は、謝罪の言葉ともう一つ、ある言葉で埋め尽くされた。
ずっと言いたかった気持ち。
もう、見失わないから。
「私……っ、高峰くんのことが、好きです」
「え?」
「『推し』だと思ってた。でも本当は、ずっと前から高峰くんのことが、恋愛の意味で好きなんだって気づいたの」
「……」
「遅くなって、ごめんなさい……っ」



