「高峰くんっ……高峰くんっ……!」



私ははやる気持ちと共に彼を探して走っていた。

チラチラ、と降ってきた雪も、凍てつくような手足も気にならない。


ねえ、高峰くん。

私、やっと気づいたんだ。

あの日──初めて話した日からきっと、私はあなたに惚れていたんだって。

なのにずっと、それを『推しに向ける愛情』と勘違いして。

『恋愛対象』ではなく『推し』として、高峰くんと接していた。

それなのに高峰くんは。



──『俺のこと、恋愛対象として見てよ』
助けられた翌日の要求も。



──『俺のこと、好きになって』
体育祭のご褒美も。



──『ね、俺のこと好きになった?』
朝、突拍子もなく言ってきたことも。



冗談じゃなく、本気で言っていたんでしょう?
心から、私を好いていてくれたんでしょう?

ごめんね。

私がバカでごめんね。

ずっと気付けなくてごめんね。

ちゃんと向き合おうとしなくてごめんね。



「ふっ……ううっ」