声が少し震えているように聞こえるのは、気のせいだと信じよう。



「俺が勇気を出した分、瑠亜もその何倍も勇気出せよ!」



初めてだった。

秀馬くんにこんなふうに言われるのは。



「俺は好きな人には幸せになってほしいと思う。だから今、後押ししてるんだ。でも瑠亜は違うだろ?」

「え……?」

「アイツは、十六夜天梨のことが好きだと自分の口で言ったのか?」



ドキリとした。



「違うだろ。瑠亜が勝手に噂から解釈してるだけだ」

「嘘、だって打ち上げの時抱き合ってて……っ」

「はぁ、もうじれったいわね。牙城くんもさっさと『あのこと』言いなさいよ!」



涼香が声を張り上げた。



「打ち上げの日、瑠亜は二人が一緒にいる所を見てたのよね?」

「うん……十六夜さんが高峰くんに『大好き』って言って抱きついてて、」

「瑠亜も、そこだけしか見てないだけなのよ」

「へ……?」



困惑する私に、野柳くんが助け舟を出した。



「その次の日、琳斗と十六夜さんが付き合ったっていう噂が飛び交った。ただ、あれはほんの噂にしかすぎなかった」