冷たい空気が頬を撫でる。
もう吐いた息は白くなるほどに、寒い季節になっていた。
「……あ」
マフラー、忘れた。
ダメだなぁ、最近は物忘れがひどい。
というか、何にもぼーっとした頭になった。
て言うか前は、どうやって過ごしてたんだっけ。
そう思うほどに、頭の中まで雪景色のよう。
世界に色が感じられなくて、全てがモノトーンで。
「瑠亜」
フワリ、と首が暖かくなった。
ゆっくりと振り返ると、息を切らした秀馬くんが立っていた。
「ダメだろ、風邪引くぞ」
「……ありがと」
笑顔で返し、前に向き直る。
うん、秀馬くんはやっぱり優しい。
「瑠亜……!」
「あれ、涼香に野柳くん、どしたの」
「どしたのじゃないわよ!ずっとこないと思ったら……!」
「?ごめん、はやく出たから。私のこと待ってたの?」
「当たり前だろ、最近の花野井は……」
「あっ、高峰くんだぁ」
校門から少し離れた場所にて。
「十六夜天梨もいるわね」
「あの二人って絵になるよねぇ、綺麗〜っ」
私はほやほやとした頭から言葉を並べた。



