その日は、朝からあの二人の話題で持ちきりだった。
「高峰琳斗と十六夜天梨が付き合ったって本当?」
「それがね、まじらしいよ!お似合いじゃない?」
「学年一の美男と美女カップル!目の保養だわ〜」
「あの二人なら納得できる……!」
やっぱりね、と私は目を細めた。
いけないいけない、まだ少し心が揺らいでる。
──「高峰くんは推し、高峰くんは推し」
かっこよくて、決して手の届かないところにいる人。
そう思えば、スウッと何かが引いて行くような気がした。
うん、大丈夫。
私が私にかけた呪文は、ちゃんと効いてる。
「ちょっと瑠亜、あの噂放っといていいの?」
「う?なんのこと?」
「だから、高峰くんと──あ」



