一通り回り終わり、高峰くんのクラスの劇の時間になった。

私も見るって言ったら「絶対頑張る」と笑ってくれた。

私は涼香と合流し、中に入る。



「人多いね……」

「一日一回だけだものね。加えて昨日の発表が大好評だったらしいわよ」



それは私も聞いた。

一足先に見たクラスメートが散々騒いでいたから。

そうこうしていると幕が上がった。



「昔々ある王国で、一人の王女が生まれました──」



『眠りの森の美女』は、姫の誕生日パーティーに一人だけ呼ばれなかった魔女が怒り、呪いをかけるところから始まる。

その呪いは『16歳になったら糸車の針に指を刺して死ぬ』というなんとも残酷なもの。

打ちひしがれていた王様とお妃様の元へ現れた救世主が、パーティーに参加していた三人の妖精。

その妖精たちは誕生日プレゼントの代わりに、呪いを『死ぬ』のではなく『長い眠りに落ちる』に変えた。

その眠りは運命の相手からのキスで目覚める。
だからそれまで永遠に眠り続けるのだと──。

それでも心配した王様とお妃様は姫を妖精と共に森へ移し、育てさせた。