グループの中の1人、赤い髪の人が私の髪に顔を近づけてきた。

思わず鳥肌が立つ。

助けて欲しいけど、他のテーブルの人はおしゃべりに夢中。

クラスメートも、忙しすぎてメイド1人ごときの状態なんて気が付かない。


うぅ、秀馬くん……!あぁ、自由行動中だった……!

なんでこんな肝心な時にいてくれないの……!バカ!

……いや、違う。



「ねぇ、ここ抜け出してさ」



私が今一番来て欲しいのは、



「学校案内して来んない?」



秀馬くんじゃなくて──。



「お前ら、誰の許可もらって瑠亜に触ってるわけ?」



背後に感じる気配……ただならぬオーラ。



「今すぐ、散れ」



グッと引き寄せられた体。
後ろから腰に回った長い腕。
香る甘い匂い。



「「「「「きゃぁぁぁぁぁっ!!」」」」」



今日何度目かの悲鳴とともに姿を現したのは……。


王子様の服を着て、威圧的に男子グループを見下ろす、


高峰くんだった。