「そこのメイドさーん、オーダーお願いしまーす」

「ふぁっ、はい!すみません」



いけない、ボーッと歩いてたらお客様の方から呼ばれちゃった。

多分ずっと手を上げてたのかな……気づかなくて申し訳ない。



「では、オーダーお伺いしますね」



メモ用紙を取り出す。

するといきなり腕を掴まれた。



「……⁉︎ えっと、なんでしょうか……」

「おお、近くで見たらもっとかわいー」



ずいっと顔を近づけてくるその男の人。
周りの人もジロジロ見てくる。

大学生らしいその数人の男子グループは、見た目からしてかなり派手。

少しタバコの匂いもする……。



「ねぇ、君なんて名前?……ルアちゃん?」

「っ、」



ネームプレートを片手で隠したものの時既に遅し。

『るあ』と書かれた名札、バッチリ見られた。



「名前も可愛いんだね〜、それにいい匂いだし」

「ひっ、やめてください……!」