一瞬固まった高峰くんは、困ったように眉を下げて微笑む。
「そういえば、私とこんな……近くて、いいの?」
「ん?」
「その、浮気みたいになっちゃう……んじゃ」
しばらく黙った後、少し悲しげな目をして。
「瑠亜は特別だから、ね」
耳元で、そう囁いたんだ。
あれ……この言葉、前も聞いたような。
「……っ、それって」
「ほら瑠亜、授業に遅れちゃうよ?」
「へ?あっ、本当だ……!じゃあね、高峰くん!」
慌てて扉の上にある時計を見ると、もうあと1分ほどで授業始まりで。
高峰くんはいいのかな?という思いもすぐに飛んでいき。
私は階段へと続く扉を押し開けた。
「まだ、言えないよな……
瑠亜が、俺を好きになってくれるまで」



