「っ、だってそんな、迂闊にキスなんてしないよ⁉︎」
「それじゃキスどころじゃないかもね?もっと先のことまで、されちゃうね」
「や……やめて、知りたくない!
高峰くんはやったことあると思うけど、私は……」
「誰がやったことあるって?」
え……?
突然張り詰めた空気に私は疑問符を並べる。
「だから、高峰くんは経験豊富で……」
「俺、キスしたことないけど」
「やっぱり……へ⁉︎」
私はぽかんと口を開けた。
こんな美貌の方がキ、キスをしたことないって……?
それはもう、熊が話すくらいありえないのだが……?
いや熊って喋るんだっけ……?(?)
「何、瑠亜は俺が誰かとキスしてもいいの?」
「もちのろんだよ!推しのキスシーンなんて見るのもおこがましいくらい尊すぎて……っ。むしろ写真集作ってほしいくらい……一生眺める……」
「瑠亜って変なの」
変なの、じゃないです。
「ま、瑠亜がよくても俺はダメだけど」
「?」
「俺の初めては、ね?ちゃんと好きな子にあげるから」
「えっ、高峰くん、好きな子いるの⁉︎」
「……秘密」



