きみがいた帰り道

まるで心臓の鼓動のように、ゆっくりと、けれど確かに明滅している。


「なにこれ……花奈?」


光が強まった瞬間、風がざわりと吹いた。


耳元で、かすかに声がしたような気がした。


『――颯磨……』


「……花奈……?」


視界が滲んで、世界がぐらりと揺れた。


「待って、今の……本当に……!」


青色の光が、道の先へと導くように走る。



――これはただの幻想なのか。


それとも、まだ間に合うということなのか。


俺は、思わず走り出していた。


きみがいた、あの帰り道を。