きみがいた帰り道

昼休み。

例のパン屋の新作スコーン、半分こ。


「え?これ絶対、俺の方ちっちゃくない?」


「気のせい、気のせい」


「おまえ、味見って言って俺の分まで食べる気だろ」


「バレた?」


 

そんな他愛ないやりとりが、やけに楽しくて。


花奈が、フォークで一口ちぎったスコーンを差し出してきた。


「はい、あーん」


「ちょ、おま……学食でそれは……」


「……ダメ?」

 

上目遣い。


くっそ。勝てるわけない。

 

「……はいはい。あーん」


「ふふ、素直でよろしい」

 

食べながら、ふと思った。


――これが「付き合う」ってことなんだなって。


どこかで聞いたような甘い言葉や、特別なイベントじゃなくて。

こんな風に笑いあえる時間の積み重ねが、
“ふたりの関係”を作っていくんだって、思った。