きみがいた帰り道

病気のこと。


母の心配そうな目。


通院の日の、白い天井。


薬の副作用で、時々夜に寝つけない日。

 

その全部を、颯磨くんにはまだ何も言っていない。


……言えなかった。

 

「伝えたら、離れていっちゃうかもしれない」なんて、


そんな不安は彼のことを信じてないみたいで、嫌だったけど。


でも、ほんの少しでも、そう思ってしまう自分がいた。