きみがいた帰り道

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「……付き合おっか」

 

そう言った瞬間、自分の声が少し震えていた気がした。


でも、颯磨くんは気づいていないふうで、


夕焼けの光の中で、ただ少し照れたように笑っていた。

 


それが、すごく嬉しかった。


心が、やさしく満ちていくみたいだった。

 

だけど、その奥で――


ふと、冷たい影がのぞく。

 

(……いいのかな、私)

 

こんなに嬉しいのに、


こんなに心があたたかいのに、


胸の奥には、いつも消えない痛みがあった。