きみがいた帰り道

あたりは夕方の光で、淡く染まっていた。
初夏の風がやさしくて、でもやけにそわそわする。

 

「……で? どうしたの?」


ベンチに並んで座った花奈が、足をぶらぶらさせながら聞いてくる。

 

「……なんか変な顔してるよ?」


「……うるさい」


「ふふ、図星?」


花奈がくすっと笑って、俺の方をちらっと見る。


笑ってんのに、なんか……すごく、かわいかった。


だからもう、逃げたくなくなった。