きみがいた帰り道

そう言って、花奈は自分のノートに挟んでたしおりを弄り始めた。


小さな沈黙。だけど、気まずくはなかった。

 

「颯磨くんって、意外と……真面目だよね」


「“意外と”ってなんだよ」


「言ったでしょ、第一印象、ちょっと怖そうだったから」


「あー言ってたな。俺、そんな怖そうか?」


「うん。目つきとか。あと無愛想なとこ」


「正直すぎて傷つくやつな、それ」

 


花奈が笑うと、ふっと肩の力が抜ける。

笑われてるのに、嫌な感じがまったくないのが不思議だった。