きみがいた帰り道

みんながバラけて飲み物買いに行ったり、スマホいじったりしはじめた頃。


俺と花奈は、ベンチの陰に並んで座っていた。


「……今日、楽しかった」


花奈が、ぽつりと呟いた。


「……うん。俺も、なんか、久々に“大学生してるな”って思った」


「ふふ。ちゃんと“してた”よ」


花奈が、ちょっといたずらっぽく笑った。


「颯磨くん、最初より話しやすくなったって思ったもん」


「最初……って、あの掲示板のとき?」


「うん。あの時、ちょっと怖かった。ツンとしてて」


「……まじか。第一印象、悪っ」


「ごめんごめん。でも、今はちがう。ちゃんと、笑う人なんだなって思った」