きみがいた帰り道

誰もいない道で、俺はひとり、空に向かって話しかける。返事があるはずもない。


それでも、つい話してしまうのは、癖になってしまったからだろうか。


「……お前がいなくなってから、どれくらい経ったっけ」


ポケットの中で、ブレスレットが微かに触れる。


あの日、花奈が「颯磨に持ってて欲しいんだ」って、はにかみながら渡してくれたもの。



――俺は、目を閉じてあの帰り道を思い出す。