きみがいた帰り道

「じゃあ、またどっかで」


「はい。また、どこかで」


そう言って、彼女はゆっくり掲示板の前を離れていった。何気ない後ろ姿なのに、目が離せなかったんだ。



………なんか、変な感じだった。


春の風が少し、ましに思えた。


初めて会ったはずなのに。


名前も、顔も、声も知らなかったはずなのに。


どこかで会ったことがあるような……そんな感覚。


俺は、その場にしばらく立ち尽くしていた。