セフ彼柊くんと本気の恋

「待って」
不意に男の子に呼び止められた
「それなら一緒に入ってこう」
そう言って肩を引き寄せられ、私はその捨て猫みたいな男の子と相合傘をする形となった
「ちょっと待って。一緒にってどこまで?」
私はこの状況にも、近すぎるこの距離にも全く慣れない
「うーん?どこまで行ってほしい?」
クスッと笑いながら若い男の子はいたずらそうに私に訊ねた
この子私の事からかってる?
私は少し恥ずかしくなった
「どこか区切りのいいところ言って。駅とか、お店とか?て言うか家ここから本当に近いから、この傘あなたにあげたのに?」
私はこの状況から早く脱したくて引き離すように言ってみた

「じゃあお姉さんち」

えっ?私はあまりに突然言われたから、言葉が出なくなってしまった

「だってここから近いんでしょ?」

ドキン
悪びれもなく言うこの男の子に、一瞬ときめいてしまった