チュッと、音を立ててエリアス様が私の手にキスをくださいました。
二人きりですが、とても恥ずかしいです。
更に頬の熱が上がります。
「この奇跡を、俺は無駄にしたくない。愛しいと思える君に出会えた。しかも手の届くところにいる。なら、誰にも渡さない。寄ってくる男は全員蹴散らして踏み潰す」
「ふ、踏み潰すのは……おやめくださいね?」
「お行儀が悪い?なら、俺を安心させて。俺に教えてよ。ロザリーの気持ち。俺のこと……好き?」
そんなの、当たり前です。
エリアス様のことは大好きです。
それよりも、ですね。
「あの……一つ、確認したいのですが……」
「何?」
「私はエリアス様に……恋をしてもよろしいのでしょうか?」
エリアス様はお仕えしているご主人様なのだから、意識なんてしちゃダメ。
そう、思っていました。
自分に言い聞かせていました。
いくらエリアス様が大好きでも、恋はできないと。
でも「自分の気持ちに、素直にね」とお母様はおっしゃってくださいました。
素直になっていいのなら……いいのなら、私は――。
「もちろん。むしろ、恋してくれないと困るんだけど」
笑顔で肯定してくださったエリアス様。
思わず、泣きそうになりました。
とてもとても、嬉しいです。
「はいっ……私も……エリアス様のことが好きです。大好きですっ」
「愛してる?」
「も、もちろんなのです!」
「結婚、してくれる?」
瞳を覗き込まれます。
そんな不安そうになさらなくても、私にとってはエリアス様が一番なのです。
求めてくださるならば「喜んで」と答えます。


