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「さっきはごめんなさいロザリー。ついカッとなってしまって……はしたなかったわよね」
ラインドンク様と別れて国王様がお出でになるのを客間で待っていると、オリーヴィア様がしゅんとなさって「ごめんなさい」をおっしゃってくださいました。
確かに、淑女として殿方の胸元を掴むのはよろしくない行為です。
「反省なさっているならよろしいです。お気持ちはわかりますが、もうあのような振る舞いをなさってはいけませんよ?」
「ええ、わかってるわ。胸ぐらを掴むんじゃなくて扇で頬を引っ叩けば良かったのよね。淑女らしく」
扇を片手に真面目なお顔をしておっしゃるオリーヴィア様。
いえ、そういうことでもありませんからね?
ロザーリエは暴力反対です!
やんちゃなオリーヴィア様に「淑女の心得」をしっかり思い出していただこうとしていた時でした。
「ふふ、相変わらずお前達は仲が良いね」
いつの間にか国王様が、ニコニコとご機嫌なご様子で私達を眺めていらっしゃいました。
慌てて居住まいを正します。
ああ、今日も国王様は麗しいです。
オリーヴィア様と同じ目映い金髪に青い瞳、透き通るような白い肌。
オリーヴィア様はお父上である国王様にとても似ていらっしゃいます。
あ、でもお顔の輪郭や目の形はお母上のミーナ様にそっくりです。
「当然ですわ。わたくしとロザリーはとっても仲良しですもの。ね?ロザリー」
可愛らしく小首を傾げたオリーヴィア様がニッコリと微笑みながらこちらをご覧になります。
はうっ!天使!!
「すまないね、ロザリー嬢。これほど君にベッタリな甘えん坊に育つとは思わなかったんだよ」
「あら父上、わたくしそれほど甘えん坊ではなくてよ。今からロザリー抜きでお話ししましょうよ。というわけでロザリー、ちょっと席を外してもらえないかしら」
「え?」
「席を外してちょうだい。よろしくて?」
席を、外す?
「父上と二人きりで話したいの」


