「足を挫いたのですか?お怪我は?」
「大丈夫ですわ。助けていただき、ありがとうございます」
「良かった。しかし、何もないところで転ぶだなんて、なかなかできることじゃありません。ふふ、貴女の特技かな?」
「特技だなんて……!違います!」
恥ずかしい!笑われてしまいました!
ううっ……。どんくさい女だと思われたでしょうか……。
「違うのか。それは残念です。頷いていただけたなら、送り届けるための口実ができたのに」
キラキラした微笑みが私に向けられました。
はわわ……カッコいいです!
オリーヴィア様と同じく中性的な美人なので、ラインドンク様に甘く微笑まれたら赤面してしまいます!
「そ、そそそんな!お忙しいラインドンク様に、そのようなこと……!」
「女性を優先するのは男として当然のことですよ。それに、結局は僕自身のためでもあります。貴女のような可愛らしい女性と少しでも長く話していたい。嫌ですか?」
思ったよりも攻め攻めです。
私の手を取り顔を覗きこんでくるラインドンク様にどうしようと困惑していると、私とラインドンク様の間にオリーヴィア様が入ってきてくださいました。
冷たいお声が響きます。
「ラインドンク様、わたくしの侍女に手を出さないでくださいませ。不愉快ですわ」
「手を出すだなんて、人聞きの悪い。僕はただ仲良くなりたいだけですよ」
「仲良くするなら、他の御令嬢となさってください。ロザリーを助けていただいことには感謝致しますが、これ以上の馴れ合いは慎んでいただきたいものですわね」
「言い方に刺がありますね。嫉妬ですか?」
「なっ!」


