「推しが近所に住むなんて聞いてません!」の猫屋くん視点のストーリーです。
まだ本編を見ていない方はネタバレを含みますので、そちらからお願いいたします。
(スクロールしてください)
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Ep.0
会いたい人がいた。...ずっとずっと会いたい人がいた。
物心ついた時には、すでに親はいなくて、孤独だった。
友達もできずに閉じた心。いつも一人が好きだった。
…いや一人が好きだと言い聞かせていたのかも知れない。
ひまわり荘から少し離れた海の見える場所が好きだった。
涼やかな風を感じながら、終わりのない海を眺めるのが好きだった。
そんな海に向かって歌を歌う。歌を歌っている時だけは、感情を出せる気がした。
ひまわり荘は孤児たちが集まる場所だから実習生がよく来る。
高校生くらいの人たちが毎年のようにやってくる。
俺はそれがとてつもなく嫌いだった。屈託のない彼らの笑顔は、俺たちが可哀想だから向けられているのだと感じざるを得なかった。
自分の捻くれた心にイライラしながら、10年前もいつも通り、そこからは逃げ出した。
いつまで一人でいるのだろう。こんな気持ちで一体何ができるのだろう。
そんな不安で心がいっぱいだった。誰かに気づいてほしい。誰かに手を差し伸べてほしい。涙が目の裏に溜まって、それでもこぼさないように、歌を歌った。
…その時
「上手だね」と声が聞こえた。
思わずびくりと肩が跳ねたのを覚えている。ひまわり荘の人間ではない。聞いたことのない、優しく透き通った声。
初めて見つけてくれた、優しい笑顔の人。
初めて俺の歌を好きだと言ってくれた人。
閉ざされた心を溶かしてくれた人。
名前を聞くことはできなかった。
もう会うことはできないのかも知れない。
それでも必ず見つけると心に誓った。
そして…そして...
出会った時に撮った一枚の写真。それだけを握りしめて、彼女に歌を届けるために、また出会うために、アイドルへの扉を開いた。
まだ本編を見ていない方はネタバレを含みますので、そちらからお願いいたします。
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Ep.0
会いたい人がいた。...ずっとずっと会いたい人がいた。
物心ついた時には、すでに親はいなくて、孤独だった。
友達もできずに閉じた心。いつも一人が好きだった。
…いや一人が好きだと言い聞かせていたのかも知れない。
ひまわり荘から少し離れた海の見える場所が好きだった。
涼やかな風を感じながら、終わりのない海を眺めるのが好きだった。
そんな海に向かって歌を歌う。歌を歌っている時だけは、感情を出せる気がした。
ひまわり荘は孤児たちが集まる場所だから実習生がよく来る。
高校生くらいの人たちが毎年のようにやってくる。
俺はそれがとてつもなく嫌いだった。屈託のない彼らの笑顔は、俺たちが可哀想だから向けられているのだと感じざるを得なかった。
自分の捻くれた心にイライラしながら、10年前もいつも通り、そこからは逃げ出した。
いつまで一人でいるのだろう。こんな気持ちで一体何ができるのだろう。
そんな不安で心がいっぱいだった。誰かに気づいてほしい。誰かに手を差し伸べてほしい。涙が目の裏に溜まって、それでもこぼさないように、歌を歌った。
…その時
「上手だね」と声が聞こえた。
思わずびくりと肩が跳ねたのを覚えている。ひまわり荘の人間ではない。聞いたことのない、優しく透き通った声。
初めて見つけてくれた、優しい笑顔の人。
初めて俺の歌を好きだと言ってくれた人。
閉ざされた心を溶かしてくれた人。
名前を聞くことはできなかった。
もう会うことはできないのかも知れない。
それでも必ず見つけると心に誓った。
そして…そして...
出会った時に撮った一枚の写真。それだけを握りしめて、彼女に歌を届けるために、また出会うために、アイドルへの扉を開いた。



