立っていたのはシュウだった。
幼稚園から一緒の、いわゆる幼なじみ。
中学に入ってからはクラスも違うし、話すことも減ってたけど
いきなりそんな言い方なくない?
私は何もしてないし、別に見られて困るようなことしてない。
ちょっと楽しくて、顔が緩んじゃっただけじゃん。
その何が悪いっていうの?
私はムッとしてにらみ返した。
「……なんでもないし。シュウに関係ないじゃん」
ぷいっと目をそらす。
「ふーん。ま、関係ねぇな」
シュウはそれだけ言って、こっちを見もしないで通りすぎていった。
階段下の非常口からはサッカー部の部室が近いから、ここを通っていったんだろうな。
「ほんと、なんなの」
思わずグチがこぼれる。
幼なじみだからって、なに言ってもいいって思ってるの?
小学生かよ。
気分、最悪。
せっかく、あんなに嬉しかった気持ちがしぼんでいく。
シュウのせいで。
むかつく。
でもいいんだもん。
図書室に行けば、コロッケパンさんの、あのやわらかい言葉。
私の書いたことを読んで、ちゃんと返してくれた優しい言葉。
それが待っててくれてる。
私は階段を上がった。
そういえば……、シュウをニラんだとき、目線を上に持ち上げちゃったな。
いつの間にかシュウに身長を追い越されてたんだ。
それもムカつく…チビだったくせに。
図書室に入る。
今日も静かで、人の気配がない。
あの場所へ向かうと、メモ帳はちゃんとそこにあった。
ページをめくると、返事が来ていた。
嫌な気持ちが、すうっと消えていった。
