図書室の奥。

本棚の影の、あの場所。


(……あった!)


あのメモ帳が、そこにある。

同じ場所、同じ位置、同じ角度。
昨日から動いていないようにも見える。

でも、なんとなく、返事が来てるって直感した。


そっとメモ帳を取って、ページを開く。


(……返事来てる!)


『どっちかっていったらクリームかな。チョコも好きだけどね
てか“コロッケパンさん”て…(笑)あのアニメに出てきそうじゃん
おれがコロッケパンなら、キミはジャムパンちゃんだね』



「……ぶっ」

笑った。

ほんとに、吹き出した。

慌てて周囲を見回す。
まだ、他の図書係も来ていないから一人きりなのは分かってたけど

でも、思わず見回して、ふう、と息を吐いた。
胸の中が熱い気がして。


返事が来てた。
私の言葉をちゃんと読んで、返してくれてる。


“キミ”って、なんかドキッとした。

呼ばれるの、ちょっと、はじめてかも。

おれ、って書いてあるからやっぱり男子だ。


……タクミ先輩って、こういうノリの人、なのかな。

読書感想文で賞をとるくらいで、
学年の中でも成績トップクラスらしくて

でも、サッカー部部長でエースで、

面白い一面もあって……?

うーん、わかんない。


でも、楽しい。
私しか知らない一面だったりして?


こんなふうに
知らない誰かとメモ帳で話すのが、どんどん楽しくなってる。


私は早速ペンを走らせる。


『えー!?ジャムパンちゃん?
ほんとにあのアニメみたい。でもおじさんじゃないからね(笑)
正義の味方、ジャムパン図書係!なーんて。。
コロッケパンさんは、部活とか、してるの?それとも図書係?』


ちょっとふざけてみる。やりすぎかな?
先輩、引いちゃうかな?

メモ帳に書いたあと、ページを閉じていつもの場所に戻す。

もう一回書き直そうかなって思ったけど
思い切ってそのままにしておいた。


このやりとりが、いつまで続くのか分からないけど

今はただ、返事が楽しみで仕方なかった。