次の日の放課後、私はチャイムが鳴るのと同時に走り出した。

図書室に入ってまず向かったのは、あの本棚の奥。

窓を開けるのも忘れて。

「……!!」

昨日と同じ場所にメモ帳があった。


昨日のあれからずっと、気になってた。

でも…、ただの忘れ物で、私が書いてからずっとそのままだったのかもしれない。

その可能性、めちゃくちゃある。


私は、周りを気にしながら、メモ帳にそっと手を伸ばした。

気づかないうちに息を止めてたみたいで心臓が鳴ってる。

ふう、と呼吸をしてから、開いた。



『ジャムパン、まじでうまかった!』



「……えっ」

思わず声が漏れそうになって、口を押さえた。

まさか、

本当に、返事が来てる!


しかも、ジャムパンうまかったって

私の言葉、読んでくれてる。



どくん、って

また心臓が跳ねて鳴った。


手書きの文字。

ところどころカクカクしてる、クセ字っぽい字。


誰なんだろう、こんなところにメモ帳なんて……

そこまで考えて、ハッとした。


もしかしたら

タクミ先輩…?

先輩、サッカー部のエースだけど成績もすごくいいらしいし
本もたくさん読んでて去年の夏休みの読書感想文も賞をもらってた。


昨日、窓から見えたあの笑顔が、頭の中によみがえる。


先輩が、こんなメモ残したり…するかな?

でも、サッカー部、ここに涼みに来るし

可能性、あるかも……?



ふわっと、顔が熱くなる。


「やば、勝手に妄想してた」


でも、もう止まらない。

次、なんて書こう? 何を話そう?

私はペンを取って、新しいページをめくった。