図書係の嘘と恋





翌日。


落ち着いてるつもりだったけど
やっぱり私は一日中上の空で、

授業の内容なんていつも以上に頭に入ってこなかったし
お昼休みもお弁当が喉を通らなかった。

授業、眠くなっちゃうよね、とかメモ帳で話したし

お昼休み、茜からジャムパンが売り切れてる噂話を聞いて心臓バクバクしたり。

放課後が待ち遠しくてうきうきしていた自分が
嘘みたいに遠くなっていた。



授業終了のチャイムを聞きながら、私はあのメモ帳をカバンから取り出す。


部活に向かう茜や美結にバイバイを言う。
でも、まだ席を立てなかった。

誰もいなくなった教室で、メモ帳を開く。


コロッケパンさんとのやりとりを読み返して、
ちょっと息苦しくなったけど。

でも、後悔とか
落ち込む気持ちとかは、なかった。




図書室へあがる階段、サッカー部の部室へ繋がる廊下との交差点。

そこはいつも、ひと気がなくて
しんと静かに風が吹き抜けていく。


授業が終わって、もう1時間近く経っていて
あちこちから部活のかけ声とか
吹奏楽部の楽器とか合唱部のピアノとかが聞こえてくる。


私は、サッカー部の練習の声が細く聞こえる、その階段下へやってきた。



自分の心臓の音だけが聞こえる…と思ったとき、

会話が聞こえてきた。