放課後の図書室に入る前
私はドアの前で立ち止まっていた。
メモ帳をまた、あの場所に戻すべきかどうか。
私の中に、答えは出ていなかった。
昼休みのあと、授業を受けながらずっと考えていた。
何を書けばいいの?
衝動的に書いてしまったメッセージは消した。
『あなたは、タクミ先輩ですか。
彼女がいるんですか。』
もし、あのままあれを読まれたら、どうなっていたのかな。
メモ帳でのやりとりは終わったかな
それとも、タクミ先輩は、私のことなんて何とも思っていないから
『彼女いるよ』って返信が来たりしたのかな…
そのとき、私は受け取れたかな
「はぁ、もうどうしよ…」
何事もなかったように、アーティストのMVについて話すのが一番いいのかも。
だって、先輩は私のことを好きだなんて
一言も言ってないんだもん。
私がただ暴走してただけ…
そこまでうじうじと考えていたとき
図書室の中から勢いよくドアが開けられた。
あまりに急すぎて驚きすぎて
私は声も出なかった。
だって
中から出てきたのがタクミ先輩だったから。
