ルミナリア王国のプリンセスアカデミーで、ついに最後の試験がやってきました。
みんなが心をこめて準備したのは、「自分の“プリンセスのこころ”をことばで伝える」ことです。

大きなホールのステージには、たくさんの候補生が並んでいました。
ひとりひとり、胸にある大切な気持ちを話します。

「わたしのプリンセスは、みんなを守ることです」
「わたしは優しくなれるプリンセスになりたいです」
「わたしはだれかの夢をかなえるためにがんばりたい」

みんな、きらきらした目でじょうずに話していました。

でも、ミミはどうしても自分の気持ちが言葉になりません。
胸がいっぱいで、声が出なくなり、立ちすくんでしまいました。

そのとき、ホールの隅から黒いマントを着た少年が静かに近づいてきました。

「きみのプリンセスは、だれのためのもの?」

その問いに、ミミははっとしました。
“わたしのプリンセスのこころは、だれのため?”と。

ミミは深く考えてから、はっきりと言いました。

「わたしのプリンセスは、だれかのために笑える私。
家族や友だち、みんなのために、笑っていられるわたしになりたいです」

その言葉が会場に響くと、まわりは静かになりました。

フロラがにっこり笑って言いました。

「それが“ほんとうのプリンセスのこころ”よ。
夢をあきらめず、だれかのために輝くこと」

すると、ホールの天井からキラキラした光が降りそそぎ、ミミを包みました。

試験官の魔法使いが微笑んで言いました。

「ミミ、合格です。あなたは本物のプリンセス」

ミミの心はあたたかくて、涙がこぼれました。

「夢は、わたしの中にある……」

そう感じながら、ミミは輝く未来へと一歩を踏み出しました。