この手紙をどうしたらいいのか分からず、5限目、6限目をやり過ごし、しかし彼女だってきっと返事を待ってるだろうから、俺は帰りのホームルームが終わって、帰り支度をしている御子柴に近づいた。
御子柴は可愛い部類に入ると思う。あんまり喋ったことないけど清楚でおしとやかなイメージ。俺は結構そゆうの好きだったり。
「み…こしば!」
御子柴は淡い栗色のポニーテールを揺らし振り返る。目が「何?」と物語っている。
いや、『何?』じゃなくて
「これ、お前……俺のこと……」
何だか急に気恥ずかしくて顔を背けて手紙をずいと出すと
「え!?何で小田切が!」
と御子柴は素っ頓狂な声を挙げ、そして慌てて手紙を奪う。
何で、って俺が聞きたいんだけど。
「これは!幸田くんに渡ったんじゃ!?」
え…幸田《こうだ》?てか違う!?
確かに幸田は俺の一つ前の席だ。しかも学年イチのイケメンでモテ男。噂に寄ると女子の間でヤツのファンクラブがあるとか、どうとか…
ぅわ!俺、サイテー
自分がやらかしたことが恥ずかしすぎて、てっきり御子柴が俺のこと好きだと思って。浮かれて……
てか浮かれてたの、俺??
まぁ女子に告白されること自体はじめてのことだからな。良く考えたら御子柴が俺に……なんてことないよな。
てか、御子柴ぁ!俺の青春を返せよ!



