昼休憩を過ぎると弁当を食って腹が満たされるから猛烈に眠気に襲われる。
この日も俺は五限目になると机につっぷして、これまた小難しい数式を熱弁する教師の説明を子守唄に、目を揺らしていた。
トントン
唐突に肩を叩かれ、重い瞼をこじ開け振り返ると後ろの席のツレが
「小田切にって。御子柴が」と斜め後ろの席を目配せ。
渡されたのは小さく折り畳んだメモ、に見えるが案外凝った折り目がついてて、ハート形になってる。メモと言うよりも“手紙”?
何だぁ?
俺はその小さく折りたたまれた手紙を開き、そして目を開いた。
紙面に走る小さくて丸っこい字。
“大好きです
みこ”
――――は?
こ、これは……
ラブレターとか言うヤツ?
いや、待て待て待て……御子柴が俺にラヴ??
そうには見えなかったケド。
もはや、今この瞬間眠りの沼に誘《いざな》おうとしていた睡魔が飛び去り、
俺はその手紙を握ったままこーちょく。



