「エルさん。
あなた、私の夫の生まれ変わりでしょう?」

そう言って少女のように微笑んだ車椅子の老婦人に、エルは意味ありげに微笑み返した。

「ね、いっしょに占い行こうよ!」
「あんた、婚活はどうなったのよ」
(バーで騒がないでよ。ほら、バーテンダーさん笑ってるじゃない)
この子、ほんっとうに恥ずかしいんだから!!

旧知の友人に誘われた。面白いバーがあるから行かないかと。
バーに面白いとか面白くないとかあるのだろうか。今流行りのコンセプトなんとかだろうか。
消えては生まれ、生まれては消えゆく。
「面白いバーがある」と言った本人も来るのが初めてだった。流行りものに弱い。もっと迷うかと思ったが、案外あっさりとたどり着いた。渋谷のセンター街からちょっと入ったところにある雑居ビルの2階。