続・バーテンダーズ - Life with Cocktails -

「ありがとうございます。いただきます。
ですが、私ではなくもうひとりのほうが」
エルさんはそう言ってはにかむように笑った。え? お客のおごりを断る? 何か気を悪くさせちゃったのかな?
「お気になさらず。
今日はもうひとりが張り切ってビーフシチューをたくさん作ってしまったのです。
味見なさいますか」
(え、食べたい)

もうこれ以上はおなかに入らないと思っていたのに、ビーフシチューと聞いて胃にすき間ができた。
「ほ、ほんの少しで」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
(まずい。私)
初めて来たバーで、食欲魔人なことがもうバレている……

「こんばんはぁ」
新たな美形がぬるっと現れた。思わず悲鳴を上げそうになった。