(さ、サンドイッチ頼んじゃった……)
私はいちばん奥の席で小さくなっていた。おなかがキュルキュル言っている。エルさんに聞こえないと良いんだけど。
水とお茶どちらが良いか聞かれた。冷たいの、あたたかいの、常温の、カフェインはありかなしか。ここは本当にバーなのか。
BGMはない。つけ忘れだろうか。そんなことを考えていると、
丸い銀盆を右手に乗せたエルさんが奥から帰ってきた。
「ロールサンドイッチでございます。
自家製の梅ジャムとほんの少しのバター。バターも自家製です。
スモークサーモンと自家製のタルタルソース。
そしてスライスチーズとルッコラの3品をご用意いたしました」
「え、かわいい!!」
きれいに巻かれた3種のサンドイッチを見て、私は思わず高い声で歓声を上げた。
白い食パンの表面にエディブルフラワーで絵が描いてある。淡いピンクの花、紫色の傘、そして水色の雫。
お茶はほかほかと湯気の立つカモミールティーにした。白いティーカップで供された。
「私の傘を見てくださったんですか?」
返事の代わりにエルさんは小さな白い花のようにほほ笑んだ。
サンドイッチはとてもおいしかった。塩分も油分もひかえめで優しい味がした。カモミールティーはもっと優しい味がした。
疲れた身体と心にじんわりと沁みる。清潔でふわふわの毛布でくるまれたよう。
(あっ、カクテルおなかに入らない)
エルさんは何も話さない。カウンター内の椅子に姿勢よく座って目を閉じている。眠ってはいないだろう。なんてぜいたくな調度品なのか。
「あ、あの、
もしよかったら、エルさん何か飲んでください」
私はいちばん奥の席で小さくなっていた。おなかがキュルキュル言っている。エルさんに聞こえないと良いんだけど。
水とお茶どちらが良いか聞かれた。冷たいの、あたたかいの、常温の、カフェインはありかなしか。ここは本当にバーなのか。
BGMはない。つけ忘れだろうか。そんなことを考えていると、
丸い銀盆を右手に乗せたエルさんが奥から帰ってきた。
「ロールサンドイッチでございます。
自家製の梅ジャムとほんの少しのバター。バターも自家製です。
スモークサーモンと自家製のタルタルソース。
そしてスライスチーズとルッコラの3品をご用意いたしました」
「え、かわいい!!」
きれいに巻かれた3種のサンドイッチを見て、私は思わず高い声で歓声を上げた。
白い食パンの表面にエディブルフラワーで絵が描いてある。淡いピンクの花、紫色の傘、そして水色の雫。
お茶はほかほかと湯気の立つカモミールティーにした。白いティーカップで供された。
「私の傘を見てくださったんですか?」
返事の代わりにエルさんは小さな白い花のようにほほ笑んだ。
サンドイッチはとてもおいしかった。塩分も油分もひかえめで優しい味がした。カモミールティーはもっと優しい味がした。
疲れた身体と心にじんわりと沁みる。清潔でふわふわの毛布でくるまれたよう。
(あっ、カクテルおなかに入らない)
エルさんは何も話さない。カウンター内の椅子に姿勢よく座って目を閉じている。眠ってはいないだろう。なんてぜいたくな調度品なのか。
「あ、あの、
もしよかったら、エルさん何か飲んでください」



