続・バーテンダーズ - Life with Cocktails -

「え、えぇ?」
常に彼のそばにいるバーテンダーが、ゆるりとした口調でそう説明してくれた。
「英語でございます。
『L』は『Left』左、『R』は『Right』右でございます」
「ときどき逆の位置におります」
「ふふ」
(面白いのね。最近の若い方たちって)

エルさんとアールさんの軽快なトークに、私はいつも笑ってしまう。
(もうずいぶんと長い間、笑ってなかった)
家でもひとり。デイサービスでもひとり。

アールさんは、真ん中分けの黒い髪をさっぱりとさせている。愛嬌たっぷりのタレ目を持つ好青年だ。
肌は日に焼けているのか黒く、丸顔で、鼻は大きく丸く、唇は色あせて薄い。左アゴに大きなホクロがある。
なで肩だが体格が良い。胸板が厚い。身長は175センチメートルに届かないくらいだろうか。エルさんと同じくらい。

「私はエルとそっくりですので、
入れ替わってもどなたもお気づきにならないのです」