「もう1度」
「ごめんなさいっ!!」
ところ変わって、
ここは件のバーである。

「おまえしゃべりすぎだ」
「気をつけます」
「いつもそう言ってるけど」
「ごめんついでに」
「何?」

「さっきのフラミンゴレディ、
ウォッカ入れ忘れた」
「ただのノンアルコールカクテルだな」
「えへ」

エルは、すっとアールの前髪に指を通した。
「しっかりしてくれよ。お兄ちゃん」
「えへ」

憂うつな色の季節も、なんとか乗り切れそうだ。ふたりでいれば。