パラノイア境界線




その言葉が急に再生されて、あたしはままならぬ意識とおぼつかない足どりでライブハウス前に立っていた。

だけど、もうとっくに7時を過ぎている。

今更きたところで、昴のバンドは終わっているかもしれない。

けど、もしかしたら。
もしかしたら。


これが最後。
最後だから。

最後に彼の声を体に残したい。


あたしは祈るような気持ちで中に入った。