それが、この卒業式での婚約破棄してハッピーエンドを迎えんとする二人に、両親からの説教という冷や水を掛けることだった。

 卒業式で公然と婚約破棄するなんて、本来ならば許されることではない。

 あまりないことだけど、明確な契約違反である婚約者以外の婚前交渉があったとしても、双方ともにこれから先を考えて、穏便に済ませるために金銭のやりとりで済ませてしまうくらいなのである。

 婚約者に近付く女性に少々嫌がらせしたところで『え。普通の反応よね?』と、愛し合う二人以外は思うのだから。

 だから、私はお互いの両親を呼び出した。

 デニス殿下の両親、両陛下は息子が聖女を王妃にと考えていることを聞いて、信じられないご様子だったけれど、私の両親は証拠の品や公平な第三者である教師たちの証言を聞き非常に怒っていた。

 今頃、貴族学校の卒業式パーティで婚約破棄を宣言した詳細の聞き取りがなされているはず。

 けれど、私はデニス殿下はエリカ様と結婚されれば良いと思っていた。だって、デニス王子から婚約破棄されて、私は心よく受け入れた。

 それを、今から覆されても。