「いいえ。私が言いたいことなどは、全くありませんわ。このように公衆の面前で婚約破棄を宣言されるなど、私は自分でも気が付かぬ間に、とんでもないことをしでかしていたようですし……お恥ずかしいです」
私はその時に、大袈裟な仕草で右上を見上げたので、デニス殿下とエリカ様も同じように視線を移動させた。
階段がある壇上には、二人。それよりも高い位置、奥にある貴賓室からの扉は開いていて、数人の影があった。
「っ……お前」
婚約者の居る男性と異世界からやって来たという聖女。禁じられた恋に盛り上がり、脳内お花畑になっている二人も、この光景を見ればようやく危機感でも覚えたのかもしれない。
お生憎様。もうそれは、手遅れよ。
そこには、デニス殿下のご両親であられる、国王陛下と王妃陛下……それに、私の父スカーレット公爵に母のスカーレット公爵夫人。
生まれた時に私たち二人の婚約を、決めた方たちだった。
「ええ。私はここで失礼しますが、お二人の幸せを心より、お祈りしておりますわ……愛し合う二人には、誰も邪魔なんて出来ませんもの……」
にっこりと私は微笑んだ。
私はその時に、大袈裟な仕草で右上を見上げたので、デニス殿下とエリカ様も同じように視線を移動させた。
階段がある壇上には、二人。それよりも高い位置、奥にある貴賓室からの扉は開いていて、数人の影があった。
「っ……お前」
婚約者の居る男性と異世界からやって来たという聖女。禁じられた恋に盛り上がり、脳内お花畑になっている二人も、この光景を見ればようやく危機感でも覚えたのかもしれない。
お生憎様。もうそれは、手遅れよ。
そこには、デニス殿下のご両親であられる、国王陛下と王妃陛下……それに、私の父スカーレット公爵に母のスカーレット公爵夫人。
生まれた時に私たち二人の婚約を、決めた方たちだった。
「ええ。私はここで失礼しますが、お二人の幸せを心より、お祈りしておりますわ……愛し合う二人には、誰も邪魔なんて出来ませんもの……」
にっこりと私は微笑んだ。



