「ですから、それは僕で良いのでは? 身分も釣り合いますし、以前から僕はアンジェラ様の信奉者(ファン)だったんです。ここで勝負をかけるべきかと」
顔を覗き込むように背をかがめたので、私は思わず一歩後ずさった。
「……リアムが私の信奉者ですって?」
「ええ。王家の集まりに良く来られていたでしょう。僕たちは警備をするために周囲を取り囲んでおりましたので、アンジェラ様を見る機会がございました。彼のことを男性として好きでないのなら、ここで申し込むことが最善かと」
確かに王太子たるデニス殿下とは、様々な集まりに連れ立って参加したものだ。それはこれからはエリカ様の役目となる……。
早く彼らと離れたかった。だから、今夜のことも待ちわびていた。
けれど……やっぱり、心のどこかで寂しい思いは残った。生まれた時から、婚約者として暮らして来たのだ。
ろくでもない婚約者だと思いながら、それなりに愛着だって湧いていたことは確かだった。
「貴方って、とっても上手いわね。リアム」
私の気持ちがそうなるだろうとよくよく理解しているというのなら、彼はとても上手い。
顔を覗き込むように背をかがめたので、私は思わず一歩後ずさった。
「……リアムが私の信奉者ですって?」
「ええ。王家の集まりに良く来られていたでしょう。僕たちは警備をするために周囲を取り囲んでおりましたので、アンジェラ様を見る機会がございました。彼のことを男性として好きでないのなら、ここで申し込むことが最善かと」
確かに王太子たるデニス殿下とは、様々な集まりに連れ立って参加したものだ。それはこれからはエリカ様の役目となる……。
早く彼らと離れたかった。だから、今夜のことも待ちわびていた。
けれど……やっぱり、心のどこかで寂しい思いは残った。生まれた時から、婚約者として暮らして来たのだ。
ろくでもない婚約者だと思いながら、それなりに愛着だって湧いていたことは確かだった。
「貴方って、とっても上手いわね。リアム」
私の気持ちがそうなるだろうとよくよく理解しているというのなら、彼はとても上手い。



