隕石の恋

大気圏に突入し、あつい抱擁を受けたのか。
ただひたすらに、
「この美しい惑星に接吻(キス)したかったのか」

最終的にこの隕石の目標は、アフリカの広大な大地に落ちる事で達成されたのかも知れなかった。
余りにも巨大な接吻は大地にクレーターを穿ち、半径何十キロメートルのものが全て吹き飛んでしまう程だったけれど、
何百光年の恋が達成されるには充分だっただろう。

美しい君が、透明な涙をぽろぽろと零していた。

雪のような白い肌にひとつ、侘助(わびすけ)のような紅(くれない)の唇にひとつ、
宇宙の果て無き闇のような制服にひとつ。
僕は、君の天然石の涙に今は触れる事が出来ない。
それはとても純粋で、尊い。
君を愛する。
君を、愛する -